サガン鳥栖 分析ブログ

サガン鳥栖について考察していきます

サガン鳥栖対湘南ベルマーレ

鳥栖は、点が取れない、というよりゴールまでの道筋が見えてこない

考えすぎて、シンプルな攻撃すらできなくなっているように思えた試合でした。

一方、湘南はシンプルでわかりやすい攻撃を繰り返しており、

さらに持ち前のハードワークで鳥栖からゴールを奪いました。

今回は、footballista 5月号に「ゲームモデル」とは、という記事があり、

そこから鳥栖が直面している状況が読み取れたので引用して紹介したいと思います。

 

  1. 「ゲームモデル」 
  2. 湘南スタイル
  3. 5バックへの対処方法
  4. 原川の使い方
  5. 最後に

 

1.「ゲームモデル」

「ゲームモデル」とは、

①監督の持つビジョン

②効率的にプレーするためのプラットホーム

→家を作る土台作りのようなもの

 

今、鳥栖は繋ぎのサッカーの提案をしています(土台となる部分)

現実は、ロングボールを多用する試合

途中まで繋げるが、一貫した目的がないために誰が出ても同じサッカーができない

 

繋ぐサッカーができないのは、単純に繋げるサッカーができる選手を揃えたのかという問題があります。

鳥栖には全選手を見渡すと自分でスペースを切り開いてパスコースを作るクエンカのような選手はあまりいません。

 

監督の当初のビジョンは繋ぐサッカーでしたが、そうした選手がいないために現実的な戦術を組んでいます。

鳥栖の繋ぐサッカーというビジョンと監督の現実的なビジョンにズレが生じています。

 

しかし、クエンカのような繋ぐサッカーに合わせた選手を取ってきたためにどうしても大幅な戦術変更はできず、迷いながら毎試合合うように変えようとしています。

 

つまり、土台自体が選手との兼ね合いで定まっておらず、少しのズレで一気に崩壊してしまうような状態に鳥栖は陥っています。

 

繋ぐサッカーを諦めるにしても今いる選手を活かすためにどう土台を作るのか、それともそれに繋ぐサッカーの土台に合わせた選手を連れてくるのかシーズンの1/3が終わろうとしている今早めに道筋を決めなければ、厳しい戦いは続くでしょう。

 

2.湘南スタイル

今節の試合では、湘南はいわゆる湘南スタイルに加えて、連動してズレを生じさせて鳥栖のゴール前を脅かしました。

シンプルな攻撃パターンとしては、山﨑にロングボールを当てて前線の2人に加えて松田がサポートする約束事がありました。

先制点の場面では、さらにWBも後ろから前へ追い抜いていきカオスな状況を作り出し

ました。

まさに湘南が走りに走った結果生み出した得点でした。

 

また、そうした攻撃だけでなく、ズレを生じさせることも上手でした。

ここからは図も入れながら説明します。

 

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この場面では山根と岡本に対して三丸の2対1が作り出せています。

それに気づいた山根は岡本にスペースに走ってもらうために(実際目線の動きでそのスペースを把握しています)三丸を引き連れる役に徹し、岡本はそれに呼応してスペースへ走り込みました。三丸がいち早く気づき、岡本についていく選択をしたので、コーナーに逃れることができましたが、いい連動でした。

 

守備の場面でも連動していい守備ができていました。

11分33秒のシーンです

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大橋は秀人にプレスをかけようとしましたが、山﨑が対応できることに気づき自重してクエンカへのパスコース(①)を塞ぎました。

②のパスコースも三丸の距離が近かったため③のパスコースへボールが出ましたが、スペースが狭く、繋ぐことができませんでした。

このようにただ走るだけでなく、どこに自分がいるべきかを考えながら守備をして、良いバランスを保っていました。

 

3.5バックへの対処方法

前回も書きましたが、今回も書いていこうと思います。

5バックは4バックに比べ、スペースが狭いので、先ほど述べた湘南が三丸と2対1を作っていた場面のようにいかにズレを生じさせて、スペースを作るかが大事になってきます。

ズレを生じさせるために大事なポジションがSB、WBの選手になってきます。

それが分かる場面を図とともに説明します。

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この場面では、クエンカがボールを保持しており、三丸へ出したかったのですが、距離が近すぎて、相手にすぐ対応されてしまうポジショニングであったためパスが出ませんでした。

次の図ではもしも三丸が高い位置にいたらどうなっていたかという想像です

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相手WBとSHの間に立つことでWBとSHは三丸にどちらが行けば良いか迷いが生じます。三丸1人に対して相手が2人対応することでズレが生じます。

この図のように秀人がWBの裏に走りこみ、ボールを受けることができれば、相手右CBが対応してくることになりゴール近くのスペースが空いてきます。

外側から崩していくことで、内側のスペースが続いて空いてきて、ゴールへの道が開けてきます。

 

また、4バックの相手にも言えますが、ハーフスペースの攻略も大事になります。

20分35秒のシーンです(選手の立ち位置と名前が一致してないかと思います。すみません)

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小林がハーフスペースに立つことで斎藤、杉岡が小林を監視ししなければならなく、小林のさらに内側のスペースが大きく空いていました。

クエンカがそのスペースに気づいて、走りこもうとしたのですが、ヨンウが切り返したためスペースが使えませんでした。

ゴール前をガチガチに固められているのでクロスをむやみにあげるよりは確実に繋げる所は繋いでゴール前に侵入していった方が得点のチャンスは増えます。

 

このように湘南のようにシンプルに空いたスペースをチーム内で共有して使う意識がたりていないようにも思えました。

 

4.原川の使い方

原川はサイドよりもインサイドの方がより活きるように感じました。

攻撃の面では、原川にだけ見えるパスコースがあるようで効果的な楔のパスやためが作れることができていました。

守備の面でもサイドだと、スピードのある選手と対応した時、置いていかれる場面がよく見られていたのですが、今回は、スピード対決になる場面がなく、ボールが出てきそうな所に気づき、潰すことができ、対応できていました。

今後はインサイドに配置して欲しいと思います。

 

5.最後に

現地で観戦しましたが、最悪な雰囲気でした。

終了の笛と同時に倒れている選手に向かって倒れるなといっていた人がいましたが、倒れるまで走った選手にリスペクトがないように思えました。

点が取れていない中で極度のプレッシャーで戦うとより疲れます。ヨンウ選手はカップ戦も出場した中でよく走ってくれたと思います。

こうなった今プレッシャーを選手たちは感じないことは不可能だと思いますが、重い雰囲気だけは取り除けるように応援しかない、そう思います。

祐治が最後の挨拶でサポーター席をじっと見つめていました。

何を感じ取ったかわかりませんが、その場面で鼓舞してもらえたらこの人たちのためにと思うのではないのでしょうか。

選手たちが戦いを諦めない限り、応援し続けようと思いました。