サガン鳥栖 分析ブログ

サガン鳥栖について考察していきます

サガン鳥栖対ガンバ大阪

・両チームスタメン

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ガンバ大阪の狙い

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鳥栖のプレスのかけ方は4-2-4気味で特に遠藤、井手口には自由にはさせないという意図が見えました。金崎はコース限定させ、金崎がボールが出たところで追うという役割分担も上手にできていました。

4-2-4のプレスでいくとSHとSBの間があくことになり、プレスがうまくかかっているときは良いのですが、遠藤のポジショニングによって、主に左サイドで倉田が間で受けたり、宇佐美が降りてきて受けたりと起点にされるのは多かったです。

これが右サイドでもやられたら厳しいところでしたが、ガンバの左サイドの質の高さによりどうしても左での攻撃の方が迫力はありました。鳥栖としては左サイドで攻めてくれたほうが守備力の高い福田が空いたスペースをカバーしてくれますし、宇佐美の降りてくる動きに裕治がついていき、空いたスペースをパトリックが狙っていましたが秀人のカバーリング、そのスペースを埋めることができていました。

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SHとSBの間を使われて危ないシーンもあって、5分33秒のシーンでガンバの右サイドで宇佐美、小野瀬、高尾で深いところまで侵入され、後ろのカバーに遠藤がいてそこにボールが戻されてスルーパスが遠藤から出されました。

深くえぐったところで後ろでもらう(イメージとしてはPAの角付近)そこからスルーパスもしくはクロスというのはマンCがよく見せるパターンであり、深さをとってスペースを空け、フリーになる瞬間を作ります。

ガンバはこういうシーンをもう少し作り出せればと、あと宇佐美が組み立てに参加しなくても小野瀬、高尾、遠藤3人でそうしたパターンを作れば、宇佐美も中央で待ち構えることができ、クロスでの得点もあがっていくかと思います。

 

鳥栖のビルトアップ

鳥栖のビルトアップでうまく計算されたシーンを一つ取り上げようかと思います。

前半30分55秒のシーンです。

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ビルトアップ阻害として小野瀬は原川につきます。そうなると三丸はだれが見るかという問題が生じてきて高尾が見ると、クエンカが空いてくるという高尾にとっては2択をつきつけます。解説の方が高尾が微妙な位置を取ってしまったと話していましたが、微妙な位置を取らざるを得なかったことには注目しなければなりません。

金森が三浦とデートで引き付けて空いたスペースに金崎が走りこみボールを受けシュートまでいけませんでしたが、惜しいシーンでした。

ずれてずれてゴールまで行くというのは現代サッカーの醍醐味であり、鳥栖が目指すべきビルトアップの姿が垣間見えました。

 

・前半総括

ガンバは宇佐美が降りてきて間で受け、そのマークに鳥栖としては誰がつくかという結論がいまいちでないままでしたが狙いがパトリックへのスルーパスミドルシュートでしたが、ラインコントロールや遠めからのシュートでそれほど決定機を与えることはありませんでした。

鳥栖の攻撃面で気になるところが2点あり、1つ目はヨンウの縦への突破が対策されており、2人以上で囲まれてしまっています。天皇杯C大阪戦のヨンウのゴールはフォローがいて中へのカットインから生まれました。ヨンウのゴールシーンはだれかと連携して空いたスペースに侵入する場面が多いような気がします。縦に抜ける動きをしてあげるだけでヨンウのドリブルのコースは広がると思うので、戦術的なところであえて1対1を生もうとしているかもしれませんが個人的には1人フォローが欲しいところではあります。

2つ目はクエンカがマイナス方向でボールを受けがちで、そこで渋滞してしまうシーンが見られたことです。特に前半27分45秒のシーンですが、マイナス方向には福田がいたためクエンカはマイナス方向でうけるよりもSBとCB間を走り抜けて深さを取って欲しいなと思う場面でもありました。クエンカが幅と深さを取ってくれたらその分三丸や原川がインナーラップなどでゴールに攻めることができます。ただ、渋滞を引き起こしてもキープしてしまうのがクエンカのすごさであり、外すわけにはいかない人物ですよね。

 

・4-2-3-1へのシステム変更

後半に入り、ヨンウから小野に代え4-2-3-1へのシステム変更します。

このシステムによりまず守備面でのプレッシングのかけ方が変わります。

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プレッシング時には4-3-3へと可変し、小野が東口と遠藤を見て、ヨングォンには金崎、三浦にはクエンカが付きます。ガンバは最終ラインでの回すところがなくなってしまいますが、パトリックターゲットというよりは2列目あたりに蹴りこんでいました。ガンバとしては繋げられそうなところにとりあえず繋ぐという意識があったようにも思いますし、一応最終ラインは4対3を作れているので東口は落ち着いて狙って蹴ることはできていました。その結果が2列目の倉田あたりに蹴りこみますが、寄せが早い福田、金森によって奪われ、前線に人数の残る鳥栖はカウンターで何度もチャンスを生み出していました。

大分みたくキーパーを含めて4バック化すれば鳥栖も戸惑ってしまうところですが、ガンバはそこまでのビルトアップは完成されておらず、おそらくそこまで含めたうえでの3枚を前に当ててきたのだとおもいます。

 

攻撃時には2-3-5のようになる配置になっていました。

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小野はトップの位置にいるというよりは降りてきて受ける役割を果たしており、ガンバとしてはマークに付きづらく、前半の宇佐美のような感じでした。

ガンバとの違いは小野が降りても前線には最低でも金森、金崎、クエンカが残っておりそこでのコンビネーションで相手を崩せることでした。

金崎は相手を背負って受けるプレーは得意であり、ガンバの最終ライン4人に対して金崎が収められることができれば、数的同数(ガンバ最終ライン4枚に対して金崎、金森、クエンカ、小野)から裏を取るだけでシュートまで結びつくシーンがありました。もちろん金崎だけでなく、前線のだれかが収めてくれる場面が多くみられ、前線の質の高さを活かせることができていました。

 

鳥栖はガンバのビルトアップを徐々に阻害しつつ、中盤に蹴らせて、そこで回収することでショートカウンターのような攻撃を相手に与え続けていました。

何本もあるうちの1本を決めれればよかったのですが、決めきれることができず、さらに変化を加えたいところで原川に代えて豊田でした。

原川がいた位置には小野が入り、豊田、金崎の2トップで4-4-2の形になりますが、結果論からいえば、相手に勢いを与えることになります。

3枚でガンバのビルトアップを徐々に阻害していた鳥栖でしたが、豊田1 人でキーパーまで深く追えてしまいます。これがいいときもあるのですが、全体の前線への押し上げがたりないと間延びするような形になり、相手にもスペースを与えピンチを招きます。

ガンバはこの時間スサエタを投入したこともあり、とりあえず前へという意識がより強くなり鳥栖が後半から行っていた中盤での回収→ショートカウンターという自分たちのターンを作れなくなります。点を取られたシーンは単純なサイドからのクロスでやられた形ですが、ガンバにシンプルでいいんだという回答から点を決められてしまったのは、後半からガンバを追い詰めていた鳥栖にとっては精神的にダメージが大きい試合となってしまいました。

あえて東口に蹴らせる時間を与えるというのがうまくいっていたのもあったのであの場面の豊田の投入が果たして正解であったのか。ただ、豊田を後半の終わりに投入して勝ち点はいくつも拾ってきたので、決めきれないのなら豊田のなにか持っている力に頼ることも大事だとも思います。今回は結果として相手にゴールがこぼれてしまいましたが、もしかしたらこちらにこぼれてきたかもしれません。サッカーは難しいですね。

 

・最後に

試合は負けてしまい正直結果が欲しいところではありました。ただここまでアウエーで内容で圧倒した試合はここ最近の中で見たことがなく、3-0くらいで勝ってもおかしくない試合でしたし、今後の鳥栖のやりたいことが見えた気もします。

今後やりたいことをつなげるためにも今年も残留しなければなりませんし、浦和戦で勝つか負けるかでかなり変わるかと思いますので、次はC大阪戦の天皇杯みたいに抜群の決定力で勝利に結び付けたいですね。