サガン鳥栖 分析ブログ

サガン鳥栖について考察していきます

J1リーグ 第9節 サガン鳥栖対鹿島アントラーズ【なぜ鳥栖は勝てないのか】

最初は試合を通してのレビューを書こうかと思いましたが、勝てないのでなんで勝てないのかざっくり考えました。

 

ここまで9試合を終えて得点5失点10の得失点差−5です。失点に関してはリーグで5番目に少ない。得点は言うまでもなく…

 

今回は失点について考えていきます。失点10のうち60分以降に失点したのは8点になります。これはかなり多い。60分で先制される、追いつかれるのは精神的にかなり重く、しかも今シーズンに至っては大体2枚くらいの交代が既に行われており、そこからまた、交代カードを切って戦術を変えるとチームとしての統一感がなくなる。

 

それでしかも60分過ぎになると体力的にもしんどくなる。鳥栖の得意な形になりつつあるのは前線からのプレスで要所要所で奪い取り、ポゼッションしながら自分達の展開に持っていくことである。ただ前線からのプレスも90分通せば問題はないがそれはこの気候の中で持つはずもない。

 

今年は5枚は代えられるけど、キーパー以外の5人は90分出る必要性がある。5人元気でも5人疲れている。ここらへんにも交代する難しさが現れているようにも思える。

極端な話、誰も交代しなければ体力がなくなってきたところで全員ゾーンで構えるとかもありだが、5人も交代できればそれもしにくい。

 

セレッソ戦ではもっとポゼッションを高めるべきだったと明輝監督は話していたが、個人的には、その前にゾーンで構えることになったときにどこを取り所にして誘導するのかという逆算を立てる方があの時間を考えたらいいのではないかと思う。

 

この試合の鹿島戦において明らかに失点シーンは受け身だったように見えた。パスの出し手が外から中へドリブルさせたことは、はたしてさせてよかったのか、縦パスを通されないようにもっと内に絞っておくべきではなかったのか、シュートの角度がない相手に対してキーパーは出ていくべきだったのか。連携こそは見事であったが鳥栖の守備は全部後手に回っているように見えた。

前線からのプレスはコースを限定させて最少人数で奪いとっているが、ゾーンで待ち構えたときはただなんとなくで守備をしているように見えてしまうときがある。

 

押し込まれているように見えても最終的にシュートさせなければペナ付近に相手を侵入させてもいいが、シュートをさせずに奪い取るという守備がまだできていないのかなと感じた。

 

そこがまだ勝ちきれず、惜しいで終わっているところですし、良い攻撃は良い守備からと言われるように1試合を通じて良い守備ができれば最後にご褒美は転がってくるのを鳥栖サポーターはよく知ってるはずですよね笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

J1リーグ 第8節 サガン鳥栖対FC東京【全てが繋がった試合】

意外なスタメン構成でしたが、ドンゴンと樋口はうまくやってくれましたね。今後使わないといけない結果を残したのではないのでしょうか。

そして石井は前節に引き続きゴールもですし、森下へのどうぞシュートまで持っていってくださいと言わんばかりのパスでこちらも重要な駒になってきました。

 

殴り合いを申し込んできた東京

色々な見方はあるだろうが、東京はレアンドロ、ディエゴ、永井で前線にプレスをかけてきたがうまくハマらなかった。秀人が随所に降りてきて数的優位を最終ラインで組み立てていたし、松岡もうまく顔を出して引き出すことができていた。うまくはめられたときでも高丘のサイドへのキック精度は今シーズンで1番良く、最終ラインのビルトアップのところでしんどくなることはなかった。

相手前線の3人を掻い潜ると鳥栖から見た右サイドはレアンドロがそこまでプレスバックしてくるわけではなくここに活路を見出した。東京としては3−4のラインで奪い、前残りしている3人に送り届けて攻撃を完結したかったと思う。

また、東京のビルトアップは小川(183センチ)をターゲットに樋口(168センチ)森下(170センチ)とのミスマッチを狙って一気に前に送っていたところを見ると、とにかく早く前に届けて攻撃を完結させて4−2で勝つくらいの勢いだったのかもしれない。

ただ、鳥栖は右サイドを主戦場にして相手を押し込め、東京の前線の3人を孤立させ、逆に自分達の攻撃を高い確率で完結できていた。

 

レーンの意識ができていた鳥栖

東京は左SHのレアンドロが空けたスペースをどうするか問題が生じた。

方法としては①3枚になった中盤がスライドする②左SBが埋めてその裏をCHが埋める

大体この辺りに落ち着いてくるかと思うが、東京は②を選択していた。

この埋める働きをしていたのは安倍だった。そうなると中盤ラインは3枚からさらに減って2枚になり、バイタルエリアが空きシュートを打つ時間ができやすい。

前半の2得点を見てもらうとわかるが、安倍がカバーに入って空いたスペースを使ってシュートを打つという選択をしている。1点目は内田が最初、最終ラインと駆け引きするポジションにいたにも関わらず、中央のスペースを理解してかポジションを修正しているところはセンスを感じますね。

2点目においては安倍だけではなく高萩もサイドに引っ張られ中央はもうガラガラ。もちろんそこで奪えたらカウンターでピンチになる場面なので、確実に繋がなければならない場面ではあるが、ここで受け手にもなれる石井が役割を徹底して時間をかけず森下へスペースにボールを送り込んだところにもセンスを感じます。

ゴリゴリのストライカーであれば無理にでも受けて縦に行く場面でしょうが縦に行っても森重がいるし、勝率は低かった。そこで戦うくらいなら楽な方にとスペースへのパスを選択する石井は柔らかさがある。

実は、3点目も石井がワンタッチで優しく秀人に落としたところから攻撃のスイッチが入り、コーナーを取り、きっかけを生むことになる。

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最後に

食いついてくる相手に対して勝つことができ、今までの積み重ねが最大限に発揮できた試合だった。スペースを見つけ、相手を動かしてく配置の関係でいえば樋口もいい立ち位置に常にいた。あとは引いてくる相手に対してどう鳥栖は崩していくのか、また、高丘の対処が不味かったように失点に繋がるミスをなくしていけば勝ち点は上積みできていくはず。

真価が問われる8月になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

J1リーグ 第7節 サガン鳥栖対C大阪【石井が最後のピースであって欲しい】

なんとなく石井決めそうな日だなと思ったら本当に決めた。

だから彼を好きになったし、ここでも多めに書いておこうと思った。

 

柿谷がいた前半はとにかく鳥栖から見て左サイドを数の力で殴り倒してさらに個の力で息の根を止めるそんな攻撃だったし、柿谷やっぱうまい。

清武はトップの位置だったけど、落ちてきて、デサバトと縦関係を結んでいて、細かいパス交換から逆サイドに展開して相手を広げつつ清武自らも逆サイドに流れ、柿谷と絡んでいく厄介な攻撃を見せてきた。

清武、柿谷に気を取られすぎると高い位置をとる両SBに展開されるとかで、昨シーズンアウエーで勝ったものの内容的にはほぼやられていたような状況になる可能性もあった。

 

でも、そうならなかったのは今シーズン特に組織化された守備で見せている連動したプレスを前半からでき、その守備ができたのはやはり豊田がいたからこそだった。

 

また、鳥栖の左サイドは数の力で殴られるため右に比べて小屋松が前から嵌めに行く回数が少なかったようにも思えた。その代わり豊田を左サイド側に置き、できるだけサイドに圧縮させてから守備を行えたし、自由にはさせてなかった。

それでも清武、柿谷のボールの置き所がうまくて完全に押さえ込むことはできなかった。

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鳥栖の攻撃はサイドを起点に攻撃ができていた。

右サイドでは松岡を気にする柿谷がいたため原が持ち出せば森下もしくは原川に出し所が見え、さらに2人のコンビネーションもいつもよりよかった。

一方、左サイドも小屋松が気にされれば内田へ出し、その裏を小屋松が狙うし、無理だったら石井が小屋松の開けたスペースを狙うといった良い関係ができていた。

 

通らなくても結果として相手を広げる形になるので、逆サイドへ展開して豊田目掛けてクロスとかもできるし、昨シーズンみたいに攻撃のバリエーションに困ることも無くなってきた。

 

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そんな中で点が取れたのは、石井と内田がいい動きを見せたからかなと思う。

後半立ち上がり前から嵌めにいこうとするセレッソだった。

それに対して鳥栖は落ち着いた繋ぎを見せていたが、内田から秀人に出したところで完全にパスの出し所がなかった。そこで内田は中に入って相手を背負った秀人からパスを受け、高い位置をとる逆サイドの森下へパスを供給した。縦にいた原川は一度下がってもらう動きのフェイクを入れ、完全に裏を取ることができたし、今までの原川は繋ぐ役割の意識が高く、足元で受けていたかもしれない。でも、それをしなかったのは石井がいるからで彼が下がってハーフスペースで受けることができるからレーンの共有ができていた。

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バックパスを繋ぐ意味がこの得点で垣間見えたし、今までの鳥栖は内田のような落としてもらって受ける動きが少なかった。プレスを同数で受けた場合どうしても相手を背負う状態で受けることが多くなるので出したあと、動いて周りのサポートをすることでこの場面のように一気にカウンターみたいな形を作り出すことができる。

 

内田のサイドに拘らず、状況を読み、至る所でフォローする関係性。そして石井のフォローで周りがスペースを使えるようにできる関係性。そうした関係性があるから今年はやれていると皆さんが感じることも多いのではないでしょうか。

 

 

 前から嵌めに来られても落ち着いて自分たちのやりたいことを出せていたが、状況が変わったのが70分でセレッソが3枚の交代をしてきたあたりだった。

特に、前2人を奥埜、鈴木に代えてきたのが厄介だった。2人の投入の意図としては、裏を狙いつつ、時には引いて受けを繰り返し、パスコースを作り、CBを動かすことであった。この時間からセレッソサイドバックは高い位置を取り受けるというよりはパスの出し手になるというのを意識していて、鳥栖はボールホルダーを見る時間が多くなり、受け身に回る展開が多くなってしまった。

裏を狙い、ダメなら引いて受けるを繰り返す動きは鳥栖にあまり見られないので林あたりはぜひ真似してやってもらいたい。

 

明輝監督が試合後インタビューで

¨ポゼッションを高めたかった。それがチームのコンセプトでもあるので¨

というように相手にボールを持たせず、相手陣地で時間を進めていく必要があった。カウンターに行けるタイミングで森下が簡単にクリアしてしまった場面が象徴的ではあるが、逃げ切るという印象が強くなってしまったのがまだまだ勝ちきれない原因かなとも思う。

 

それでもチームとして手応えは感じられ、いつも言っているのかもしれないが、素晴らしいチームだったと実際にロティーナが言っていたし、本当に素晴らしいチームになりつつある。出来たらセレッソの得点は素晴らしすぎたので、喜んで欲しかったが、なぜ頭を抱える…笑

個人的にも前回挙げていた原川が裏を狙う意識ができていたのは嬉しかったし、それを引き出しているのは石井だし、良い相互関係が生まれてきているので、次はどんな良い相互関係が見られるのかと思うと楽しみな試合が続きそうですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

J1リーグ 第6節 サガン鳥栖対清水エスパルス

初めてメインS席で観戦したような気がしますが、明輝監督の声が聞こえたり森下がタックル成功したときの雄叫びだったりが聞けました。

何より選手の動きが見えやすかったので今後はサポーター席以外もありだなと思った次第であります。

 

空いているエリアを共有する鳥栖

清水の守備時のシステムは4−2−3−1で前からプレスをかけて奪いたいという意図が見えた。

そうなると鳥栖としては中央は数的不利になってしまいパスを出しにくい。ただ、ボランチ脇が必然的に開いてくることになり、鳥栖としては意識してそこを狙えていた。

この試合左のハーフスペースに小屋松が位置していたが、小屋松はボランチ脇で受けることを非常に意識しており、1番分かりやすいのは8分16秒のシーンで鳥栖ボランチ2枚に相手ボランチ2枚が食いついたとき、空いたスペースに小屋松が顔を出して高丘からダイレクトでパスを受け、高い位置で幅を取っていた内田へパスを送るシーンが見られた。

狙った意図が見られたし、練習でもやっていた通りのものが出せたのではないかと思う。

 

また、11分31秒のシーンになるが、ここでも小屋松がボランチ脇で受けた。そのときいち早く石井はSBーCB間を狙い、小屋松からパスを引き出していた。こういったこのスペース

で受ければ次にどこが開くというのを認識できていれば今後に大きな期待が持てると感じた。

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守備だけではないエドワルド、そして成長する松岡

ここまでボランチ脇のスペースの話をしたが、当然ずっと空いているわけでもなくそうなると次なるスペースを見つけないといけないが、そのスペースを作り出していたのがエドワルドと松岡だった。

清水は4−2−3−1の2列目の3枚が比較的中央に絞り、囲んで取ろうというアクションを起こしていた。3枚が中央に寄るとサイドには大きなスペースが生まれることになり、そのサイドにパスを供給していたのがエドワルドと松岡であった。

24分18秒のシーン、エドワルドはバックステップを踏みながら松岡からパスを受けるためのコースを作り、パスを受けると大きく空いたスペースへ前進し、数的優位を作ることができた。パスを受けて簡単にサイドにパスを出すという選択肢をせず、ギリギリまで持ち出して、サイドもしくは縦に付けるパスコースまでドリブルをしたエドワルドの判断は守備だけでなく攻撃でも貢献度が高い。

 

松岡は中央で受けるのがキツければ原の右でボールを受け、相手のサイドバックの裏を狙う場面が見られた。ここで気になったのが松岡がパスを受けたとき原川が前半の初めに立ち止まってしまって松岡がドリブルするコースと被ってしまっていた。

原川はゴールした場面のように高い位置でパス交換しながらペナ内に侵入してシュートするのが持ち味だと勝手に思っているので、降りてこようとしないで高い位置を保って欲しいと感じた。得点後は松岡からのパスで裏を狙うなど積極的な動きが見られ、非常に良くなった。

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原の横に落ちてボールを受けるときの松岡は良かったのだが、中央で受けるときは危ない場面があった。前半終わり間際の場面が顕著だが、相手の狙い通りの囲い込みに嵌り、奪われてしまいエドワルドのスーパープレーに助けられる形になった。

前半が終わるとすぐにベンチで指導されていたが、改めて味方と相手の立ち位置を確認し、あそこで受けるなというよりその立ち位置を利用しろと言っていたように思えた。同じ過ちは彼は繰り返さず、後半51分44秒では下げるだろうと思った相手の重心とは逆を突き、一気に前へドリブルをすることができた。

ハーフタイムコメントで明輝監督は状況判断を早くとあったがこういう狙いがあったのかもしれない。

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やりたいことはできた後半の清水

後半の清水は攻撃の枚数をかけてでもパスで繋ぎ崩したい意図が見られた。特にボランチ2枚が片方のサイドの攻撃で崩すシーンが見えられたが、成功したときは怖い攻撃にもなったが、逆に中央はガラ空きだった。

また、清水は押し込んでダメなら逆サイドに展開しつつ、ペナ角に入り込んでくるエウシーニョに預け、クロスを狙うシーンも見られた。

押し込むことはできる清水だったが最後のところのシュートまでがなかなかうまくいかず、鳥栖としては奪ったあとガラ空きの真ん中から攻めたいとことだったが、押し込まれたところだたりサイドで奪うためなかなか速攻にも結ぶことができなかった。

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それでもセットされた清水の守備を打開できたのは後半途中から質的優位を放っていたヨンウがいたからでもあった。

左サイドでの出場となったヨンウは早々と縦で抜けることを相手に見せ、飛びついてこないようになると裏に内田へパスを出すことができるし、時間を作るためその間に石井が流れてきてそこにパスを出すこともできヨンウとしては沢山の選択肢を持てた。

前半ハーフスペースでボールを受けた小屋松がいたため清水としてはどうしても中を閉めないといけなくなり、鳥栖は大外からの攻撃の起点が作れるようになり、そこからのズレで次は中が空くというような形を作らせていた。

 

個人的には清水の人数をかけたサイド攻撃を利用してカウンターを見たかったところではあるが、立田はいいプレーをしていたし、サイドから崩していくのは間違いではなかったと思う。

でも、やっぱり理想としては石井が降りてきて中央でボールを受けて空いた広いスペースを切り裂きながらラストパスを送るような速攻を見せて欲しい。思い浮かぶのが、鎌田みたいなプレー。

色々な方がユースの沼にハマる気持ちも分かったような気もする笑

 

石井と原川の関係でゴールを決めたように新旧のメンバーでのゴールをまだまだ見たいと思っているし、それを見れればサガン鳥栖の未来は明るいと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

J1リーグ 第4節 サガン鳥栖対サンフレッチェ広島【梁を好きになった】

5,000人上限ですが、やっと観客が入れるようになり、私もわくわくしながら見にいきました。実際にわくわくさせられるような試合であったのも事実ですが。

リモート応援についてはせっかく観客がいるのでなくてもいいかなあと思うところはあり、拍手だけでも充分選手を鼓舞しているように感じました。

何回もセカンドボールを回収した際に観客が拍手を送る光景はなんだか素敵だなと思ったし、保護者のような気持ちにもなりました笑

 

この試合で初めて梁を見て感動して震えたので、その凄さを言語化しつつ、レビューしていこうと思います。

 

鳥栖のフォーメーション変更

前節までは数字で表すのであれば、4−1−2−3(守備時4−4−2)の並びであった。ただこの試合から4−2−3−1(守備時4−2−1−3)という並びに変わった。

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前節までの守備だとどうしてもサイドハーフ化した小屋松だったりチアゴだったりがプレスバックしてしんどいところがあり、戻りきれなければそこを使われるという場面があった。

だが、今節の4−2−1−3であれば前線3枚(しかも追い回しの豊田がいる)とアンカーをケアする本田で広島は出しところがサイドしかなくなり、そこにサイドバックが激しくプレスに行くという構図ができていた。しかも、梁と松岡という運動量豊富な2人がいることで降りてくるインサイドハーフを捕まえることができるし、サイドバックが空けたスペースもケアができていた。

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メンバーも変更があったが特に原のセンターバックは結果的には大きな優位性を鳥栖にもたらした。攻撃時に原が普段右サイドバックが位置するようなところでボールを受けることで自動的に森下を高い位置に押し上げ、彼が得意とするドリブルを高い位置で勝負させることができていたし、チアゴもそれに伴い、フリーでボールを持てる場面も多々あった。

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もちろん梁が降りてきてくれて常に後ろ3枚で回せることで原は開いてもらうことができており、後ろ3枚で回して右サイドバックの位置で効果的なパスを回す姿はレアルのクロースのような感じだと思った。

 

前で広島が嵌めに来てもサイドバックから裏へのボールだったり、高丘に逃げて逆サイドに振ったりで広島は前から奪いに行っても本当にいいの?という迷いが生じているようにも思えた。

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前半、後半を通してこうした巨大ロンドのような形を取ることで数字に現れたように高い支配率となったし(支配率58%)全体をうまく押し上げることで良い配置が取れており、奪われてもすぐに奪い返すことができていた。

 

加速する攻撃

後半はさらに幅を取り、間を狙っていく動きが多くなった。特に左サイドでは内田がハーフスペースに位置して小屋松との連携で崩していくのは可能性を一番感じた。

ハイネルはどちらかというとスペースを埋めるというより人について勝負して奪いたいタイプであり、ハイネルを引きつけてから小屋松へ裏へのパスが何度も通りそこを起点にゴール前に迫ることができていた。

内田が高い位置のハーフスペースを取るとカウンターを喰らうことになるが、そこは梁と松岡が前を向かせない守備で対応していた。しかも鳥栖のカウンター対策の守備で良かったところが、前をむかせない守備をしてもレイオフ(後ろ向きの選手が前向きの選手に落とす動き)でプレスを掻い潜られることがあるが、この試合周りがここに下げるだろうなという予測が早く下げたボールを奪えていたところだ。当然予測だけでは奪えないが、この試合の鳥栖の攻撃の配置が5レーンを常に意識した形ができており、奪われても即時奪還の意識があればそのまま相手を囲みパスコースを限定し、予測できるようになっていた。

✳︎イメージ

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梁の凄み

7分59秒の場面だが、本田がアンカーを消しきれずにウイングのハイネルまでボールが行き、釣り出された内田のスペースを素早くケアした。この場面、前線と後ろがうまく連動できておらず、奪いにいくという選択をせずにスペースを埋めて遅らせる判断をしたのは適切な判断であった。(図2枚目の動き)

 

15分11秒の場面では広島のセンターバック間が空いているにも関わらず誰も走りこんでおらず出したいのになあという感じが見えた。誰も走り込まなければ仕方ないので1度サイドの森下に預け、自らそのスペースに走り込むことで一気に4人を引きつけ中盤ラインと逆サイドのスペースを作った。

21分35秒でも自らハーフスペースに走り込むことで後ろのスペースを空け、そこで松岡が受け、逆サイドへ展開し、小屋松が1対1で勝負できる場面を作っていた。手で松岡に後ろで受けろというようなジェスチャーをしていたので明らかに狙った動きでもあった。

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梁がパスを散らすからリズムがよくなったと帰りよく聞こえてきた。確かに最終ラインに加わり常に数的優位を作ってくれたし、落ちなくていいところではあえて前で留まり相手を引き付けてからパスを出していた。

だが、パスを出した後、スペースに走り、そこにボールが出ないとしても味方のためのスペースを生むことで全体が押し上げられるし攻撃全体が繋がったように思える。

 

だけど相手の最終ラインの間に走り込むのは前線の選手であってほしいし、パスの出し手は梁であって欲しいし、それを見て学んだ、松岡であっても欲しいとも思いつつ、結果的にはこの試合でサガン鳥栖の攻撃の形が見えたし、守備の形も見えた。それを気づかせてくれたのは梁であり、この引き分けがもしかしたら大きな分岐点になるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

J1リーグ 第3節 サガン鳥栖対ヴィッセル神戸【何かの意味を持つ可能性はなくない】

自分たちのミスが多くミスがなければ前半から押し込めていたかもしれない。ただ、後半のミスでいえば共通認識を持ったミスであるようにも感じたし、共通認識を持ちすぎたが故の失点だったかもしれない。

 

多くの得点は望めない鳥栖にとって大事なのは当然失点しないこと。そして得点を全員で狙いに行くタイミングではないでしょうか。この2つは75分まで出来ていただけに点が取れなかったのは非常に悔しかった。だからこそ松岡のあの表情、そして明輝監督の試合後ミーティングだったのではないでしょうか。

 

神戸の圧倒的ボール支配

支配されてボールを追いかける展開になるのは力関係から見ても容易に予想はできていたはずであり、誰よりも追いかける金森、スペースを埋めるのがうまい原の起用だった。

鳥栖としては神戸の中盤3枚(イニエスタ、山口、サンペール)には絶対自由にボールを触らせたくなかった。神戸はウイングがハーフスペースに入り込み、サイドバックが高い位置に

張り出すような形をとるので神戸の中盤にボールが渡ると鳥栖サイドバック裏だったりハーフスペース経由して中に合わせたりと何でもされる状況を作らせてしまう。

そのため本田を1列上げて4−4−2の守備陣形を組み、サイドに出させて中盤は原川、松岡を配置して主にイニエスタと山口を常に警戒させていた。下の図を見て貰えばわかるが、SH化したチアゴ、金森の守備タスクは非常に多くなるし、大分戦と違ってロングボールで逆サイドに振れる選手が神戸には多いので、それをされるとさらにしんどいという中、何とかついていけてたし、クロスを上げられていてもCBの2人は対応できていた。

 

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給水タイム後の変化

給水タイム前まではスペースを守るという感覚に近かったが、給水タイム後から人についていく守りに変えた。それまでの攻撃の起点はチアゴであり、個の力でいえば唯一優っていたところと言えるかもしれない。そこで点が取れれば同じ守り方をしたであろうが、点が取れないし、攻撃の起点もボール支配されて作れないしで神戸のサイドバックにSH化した金森、チアゴをぶつけてきた。そうするとクロスが自由にあげられなくなる神戸はサイドバックから横へのパスが出るようになり、そこにも中盤の松岡だったり、原川が詰める形を取った。まあそうすると中盤が1枚減る訳であり、そこをイニエスタが逃すわけはなく25分42秒は自分で起点を作り、逆サイドまで振って、自らエリア内に侵入してシュートを放つまで至った。

 

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後半に全てかけた鳥栖

鳥栖はさらに守備のやり方を変えた。林を投入して4−2−4の守備を仕掛けた。前からのプレッシャーが強く、神戸のサイドバックは最終ラインと遮断されるのを恐れ、降りて受けたところに鳥栖サイドバックとウイングで囲い込むようにして奪っていった。

そうなると神戸はサイドに逃げることが難しくなり、多少の無理でも中央に通そうとし、そこを鳥栖が狙うことができショートカウンターに繋げ立て続けに決定機を作ることができていた。

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さらに鳥栖はポゼッション時、サイドバックが中盤の脇に位置し、そこで受けることで山口のスライドを間に合わせなくし、SBーCB間を狙わせることが何回か見られた。

46分32秒では、本田はあえてスペースに走りこまず我慢して金森や林のためにスペースを開けているのにも注目すべき点である。その結果、ダンクレーが本田に釣られて対応が遅れる結果にもなっている。

 

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奪い所がはっきりして攻撃の起点もはっきりした鳥栖としてはあと点を取るだけてあり、点を取るレシピは揃っていた。

でも神戸が点を取って勝利したのは神戸が最初から最後まで狭くてもハーフスペースを起点としてゴールを奪いにいくというのを共通認識として持っていたからだと思う。実際に失点したシーンはスーパーゴールかもしれないが、ハーフスペースを起点にした攻撃でもあった。

鳥栖としては奪ってすぐ裏に運ぶという共通認識があったはずだし、その結果前掛りになり逆にカウンターを喰らう形になってしまった。

ただ、共通認識をもつことで後半のような自分たちがやろうとしているサッカーをすることができるし、そのやろうとしているサッカーは意味を成してくるようにも感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

J1リーグ 第2節 サガン鳥栖対大分トリニータ【実は前半よりも後半の方が良かった】

お久しぶりです。やっと会いたかったものに会える週末がやってきました。

試合自体は敗れてしまったのですが、前半はやれると感じた方は多いのではないでしょうか。ただ、試合を見返すと明輝監督も話してたように後半の方がやりたいような形でやれていたように感じ、後はどう相手ゴール前までにボールを運びシュートまで持っていくかという課題が見つかったような気がします。

せっかくなので試合中聞こえた指示も交えながら書いていきます。

 

いつも通りの大分トリニータ

大分の守備時の守り方の基本は5−2−3であり、この辺は昨年と変わっていないように感じた。なので鳥栖の攻め方は3枚の相手前線を掻い潜って中盤2枚の脇にボールを運ぶことが理想的であった。実際、松岡を経由して原川または本田にボールが渡り、理想を現実に変える途中までいったが、その後の連携が不完全であった。

気になった点が2つあるが、1つ目はサイドバックの位置の低さだ。特に1分57秒のシーンではせっかく相手のプレスをかわし、中盤の本田にボールをつけることができたのだが、難しい体勢のレンゾへパスが渡りボールをロストしてしまった。

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この場面、サイドバックの森下が高い位置をとり、さらにアゴが深みを作って3人の関係性が成り立っていれば相手のWBーCB間レンゾが狙うことで大きなチャンスになっていた。

 

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2つ目の気になる点は、小屋松はサイドに張りすぎているところである。6分37秒では内田、原川、小屋松が一直線に並んでしまいせっかく空いたWBーCB間を活用できなかった。(最終的にはWBーCB間に出たが、時間がかかり対応されてしまった。)

ただ、後半は比較的小屋松は間を狙おうとする動きは多くなり良かった。

 

もはやDFと化してしまった小屋松

これに関してはしょうがないところではあった。内田相手IHの降りる動きについていき、

その結果高い位置をとるWBの松本が空いてしまい、パスが渡ってしまい小屋松が何度もプレスバックをする羽目になった。内田松本に対応したとしても大分はハーフスペースを必ず突いてくるのでそこを埋める必要があった。

そのため4−3−3の最大の魅力である奪ってからの押し上げを見せることがあまりなく、ここまで下げさせると失点の確率は下がるが、得点の確率も下がる諸刃の剣ではあった。

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解決案としては、アンカーの松岡にハーフスペースを埋めてもらうもしくは相手の右の前進をある程度許す代わりに原川を前に出さないという考えなどがある。

原川を前に出さなくても大分はセンターバックがハーフスペースを突いてくる(ここでは岩田)ため内田、小屋松VS松本、井上、岩田というように数的不利ができてしまうためあまり解決策にはならないような気はするので、松岡がハーフスペースを埋めた方が良さそうではある。

 

当然、明輝監督もそこらへんは気になっていて20分39秒には原川に「力、外を見ろ」ということ指示が飛んでいましたが、原川右CB→右WBのルートを塞いでもらい小屋松の負担を減らしたかったようにも思えた。

 

実は出来の良かった後半

前半気になったところをの投入で解決した。の投入の意図としてはWBーCB間を狙いタメを作り折り返しのクロスを狙うようなイメージだった。

実際、後半開始早々そういった狙いが見られ、特に、49分30秒で中盤脇で原川が受け、内田に落とし原川に釣り出されたCBのスペースを林が狙う動きが見られた。

常にそうした動きが見られ、前述したように小屋松WBーCB間を狙う動きをして、そこが狙えないのであれば動き直してサイドでもらうこともできていた。

 

個人的に1番惜しいと思えたシーンは63分37秒であり、本田が森下に落として森下は中へドリブルして侵入したが、ドリブルのコースに林が降りてきてしまい、若干森下と林が被ってしまった。後半開始早々から裏への意識があっただけに相手CBの裏を取れれば得点できていたはずである。

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さらに攻勢を強めたい鳥栖は金森を投入して前から奪うようにした。60分23秒では明輝監督から「健志下がりすぎ」と言われて鳥栖の左サイドは前からの押し上げが連動していたが、逆サイドはそこまで連動できていなかった。その結果、大分の左サイドで選択肢を与えてしまい、失点シーンでは1番やられてはいけないDFの裏をキーパーから使われてしまった。

 

前半はデザインされたセットプレーから得点を奪えそうなシーンもあり、後半は前半の修正ができており、後は最後のゴールまでのイメージを共有できればというところまでいけたが、失点してしまいフォーメーションの変更をして、パワープレーみたいな形を取らざるを得なかった。ただ後半のような形が前半から取れていれば点は取れていたと思うし、次節は前半から林を見てみたいとも思った。