J1リーグ 第3節 サガン鳥栖対ヴィッセル神戸【何かの意味を持つ可能性はなくない】
自分たちのミスが多くミスがなければ前半から押し込めていたかもしれない。ただ、後半のミスでいえば共通認識を持ったミスであるようにも感じたし、共通認識を持ちすぎたが故の失点だったかもしれない。
多くの得点は望めない鳥栖にとって大事なのは当然失点しないこと。そして得点を全員で狙いに行くタイミングではないでしょうか。この2つは75分まで出来ていただけに点が取れなかったのは非常に悔しかった。だからこそ松岡のあの表情、そして明輝監督の試合後ミーティングだったのではないでしょうか。
神戸の圧倒的ボール支配
支配されてボールを追いかける展開になるのは力関係から見ても容易に予想はできていたはずであり、誰よりも追いかける金森、スペースを埋めるのがうまい原の起用だった。
鳥栖としては神戸の中盤3枚(イニエスタ、山口、サンペール)には絶対自由にボールを触らせたくなかった。神戸はウイングがハーフスペースに入り込み、サイドバックが高い位置に
張り出すような形をとるので神戸の中盤にボールが渡ると鳥栖のサイドバック裏だったりハーフスペース経由して中に合わせたりと何でもされる状況を作らせてしまう。
そのため本田を1列上げて4−4−2の守備陣形を組み、サイドに出させて中盤は原川、松岡を配置して主にイニエスタと山口を常に警戒させていた。下の図を見て貰えばわかるが、SH化したチアゴ、金森の守備タスクは非常に多くなるし、大分戦と違ってロングボールで逆サイドに振れる選手が神戸には多いので、それをされるとさらにしんどいという中、何とかついていけてたし、クロスを上げられていてもCBの2人は対応できていた。
給水タイム後の変化
給水タイム前まではスペースを守るという感覚に近かったが、給水タイム後から人についていく守りに変えた。それまでの攻撃の起点はチアゴであり、個の力でいえば唯一優っていたところと言えるかもしれない。そこで点が取れれば同じ守り方をしたであろうが、点が取れないし、攻撃の起点もボール支配されて作れないしで神戸のサイドバックにSH化した金森、チアゴをぶつけてきた。そうするとクロスが自由にあげられなくなる神戸はサイドバックから横へのパスが出るようになり、そこにも中盤の松岡だったり、原川が詰める形を取った。まあそうすると中盤が1枚減る訳であり、そこをイニエスタが逃すわけはなく25分42秒は自分で起点を作り、逆サイドまで振って、自らエリア内に侵入してシュートを放つまで至った。
後半に全てかけた鳥栖
鳥栖はさらに守備のやり方を変えた。林を投入して4−2−4の守備を仕掛けた。前からのプレッシャーが強く、神戸のサイドバックは最終ラインと遮断されるのを恐れ、降りて受けたところに鳥栖のサイドバックとウイングで囲い込むようにして奪っていった。
そうなると神戸はサイドに逃げることが難しくなり、多少の無理でも中央に通そうとし、そこを鳥栖が狙うことができショートカウンターに繋げ立て続けに決定機を作ることができていた。
さらに鳥栖はポゼッション時、サイドバックが中盤の脇に位置し、そこで受けることで山口のスライドを間に合わせなくし、SBーCB間を狙わせることが何回か見られた。
46分32秒では、本田はあえてスペースに走りこまず我慢して金森や林のためにスペースを開けているのにも注目すべき点である。その結果、ダンクレーが本田に釣られて対応が遅れる結果にもなっている。
奪い所がはっきりして攻撃の起点もはっきりした鳥栖としてはあと点を取るだけてあり、点を取るレシピは揃っていた。
でも神戸が点を取って勝利したのは神戸が最初から最後まで狭くてもハーフスペースを起点としてゴールを奪いにいくというのを共通認識として持っていたからだと思う。実際に失点したシーンはスーパーゴールかもしれないが、ハーフスペースを起点にした攻撃でもあった。
鳥栖としては奪ってすぐ裏に運ぶという共通認識があったはずだし、その結果前掛りになり逆にカウンターを喰らう形になってしまった。
ただ、共通認識をもつことで後半のような自分たちがやろうとしているサッカーをすることができるし、そのやろうとしているサッカーは意味を成してくるようにも感じた。