サガン鳥栖 分析ブログ

サガン鳥栖について考察していきます

J1リーグ 第4節 サガン鳥栖対サンフレッチェ広島【梁を好きになった】

5,000人上限ですが、やっと観客が入れるようになり、私もわくわくしながら見にいきました。実際にわくわくさせられるような試合であったのも事実ですが。

リモート応援についてはせっかく観客がいるのでなくてもいいかなあと思うところはあり、拍手だけでも充分選手を鼓舞しているように感じました。

何回もセカンドボールを回収した際に観客が拍手を送る光景はなんだか素敵だなと思ったし、保護者のような気持ちにもなりました笑

 

この試合で初めて梁を見て感動して震えたので、その凄さを言語化しつつ、レビューしていこうと思います。

 

鳥栖のフォーメーション変更

前節までは数字で表すのであれば、4−1−2−3(守備時4−4−2)の並びであった。ただこの試合から4−2−3−1(守備時4−2−1−3)という並びに変わった。

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前節までの守備だとどうしてもサイドハーフ化した小屋松だったりチアゴだったりがプレスバックしてしんどいところがあり、戻りきれなければそこを使われるという場面があった。

だが、今節の4−2−1−3であれば前線3枚(しかも追い回しの豊田がいる)とアンカーをケアする本田で広島は出しところがサイドしかなくなり、そこにサイドバックが激しくプレスに行くという構図ができていた。しかも、梁と松岡という運動量豊富な2人がいることで降りてくるインサイドハーフを捕まえることができるし、サイドバックが空けたスペースもケアができていた。

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メンバーも変更があったが特に原のセンターバックは結果的には大きな優位性を鳥栖にもたらした。攻撃時に原が普段右サイドバックが位置するようなところでボールを受けることで自動的に森下を高い位置に押し上げ、彼が得意とするドリブルを高い位置で勝負させることができていたし、チアゴもそれに伴い、フリーでボールを持てる場面も多々あった。

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もちろん梁が降りてきてくれて常に後ろ3枚で回せることで原は開いてもらうことができており、後ろ3枚で回して右サイドバックの位置で効果的なパスを回す姿はレアルのクロースのような感じだと思った。

 

前で広島が嵌めに来てもサイドバックから裏へのボールだったり、高丘に逃げて逆サイドに振ったりで広島は前から奪いに行っても本当にいいの?という迷いが生じているようにも思えた。

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前半、後半を通してこうした巨大ロンドのような形を取ることで数字に現れたように高い支配率となったし(支配率58%)全体をうまく押し上げることで良い配置が取れており、奪われてもすぐに奪い返すことができていた。

 

加速する攻撃

後半はさらに幅を取り、間を狙っていく動きが多くなった。特に左サイドでは内田がハーフスペースに位置して小屋松との連携で崩していくのは可能性を一番感じた。

ハイネルはどちらかというとスペースを埋めるというより人について勝負して奪いたいタイプであり、ハイネルを引きつけてから小屋松へ裏へのパスが何度も通りそこを起点にゴール前に迫ることができていた。

内田が高い位置のハーフスペースを取るとカウンターを喰らうことになるが、そこは梁と松岡が前を向かせない守備で対応していた。しかも鳥栖のカウンター対策の守備で良かったところが、前をむかせない守備をしてもレイオフ(後ろ向きの選手が前向きの選手に落とす動き)でプレスを掻い潜られることがあるが、この試合周りがここに下げるだろうなという予測が早く下げたボールを奪えていたところだ。当然予測だけでは奪えないが、この試合の鳥栖の攻撃の配置が5レーンを常に意識した形ができており、奪われても即時奪還の意識があればそのまま相手を囲みパスコースを限定し、予測できるようになっていた。

✳︎イメージ

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梁の凄み

7分59秒の場面だが、本田がアンカーを消しきれずにウイングのハイネルまでボールが行き、釣り出された内田のスペースを素早くケアした。この場面、前線と後ろがうまく連動できておらず、奪いにいくという選択をせずにスペースを埋めて遅らせる判断をしたのは適切な判断であった。(図2枚目の動き)

 

15分11秒の場面では広島のセンターバック間が空いているにも関わらず誰も走りこんでおらず出したいのになあという感じが見えた。誰も走り込まなければ仕方ないので1度サイドの森下に預け、自らそのスペースに走り込むことで一気に4人を引きつけ中盤ラインと逆サイドのスペースを作った。

21分35秒でも自らハーフスペースに走り込むことで後ろのスペースを空け、そこで松岡が受け、逆サイドへ展開し、小屋松が1対1で勝負できる場面を作っていた。手で松岡に後ろで受けろというようなジェスチャーをしていたので明らかに狙った動きでもあった。

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梁がパスを散らすからリズムがよくなったと帰りよく聞こえてきた。確かに最終ラインに加わり常に数的優位を作ってくれたし、落ちなくていいところではあえて前で留まり相手を引き付けてからパスを出していた。

だが、パスを出した後、スペースに走り、そこにボールが出ないとしても味方のためのスペースを生むことで全体が押し上げられるし攻撃全体が繋がったように思える。

 

だけど相手の最終ラインの間に走り込むのは前線の選手であってほしいし、パスの出し手は梁であって欲しいし、それを見て学んだ、松岡であっても欲しいとも思いつつ、結果的にはこの試合でサガン鳥栖の攻撃の形が見えたし、守備の形も見えた。それを気づかせてくれたのは梁であり、この引き分けがもしかしたら大きな分岐点になるのかもしれない。