サガン鳥栖 分析ブログ

サガン鳥栖について考察していきます

サガン鳥栖対ガンバ大阪

 3点を取り見事な勝利で無得点、連敗という長く暗いトンネルをようやく抜けました。もしも今節も無得点でしたら負のスパイラルに陥り、降格が見えたかと思うくらい今年を占うゲームだったかと思います。そんな中、出場したすべての選手が全力を出し切り、サポーターを含め、全員で勝ち取ったゲームだったのではないでしょうか

 

 

・両チームのスタメン

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 鳥栖は4−4−2の並びで原が外れ、小林が右SB、そして福田キャプテンの久々の復帰でした。

 一方ガンバ大阪は今シーズン4−4−2か4−2−3−1の並びのようですが、今節は4−2−3−1の並びでスタートでした。

 

・両チームの狙い

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 ガンバの狙いとしては、4−2−3−1の並びだと奪ったときにヤット経由でウイジョまたはアデミウソンのカウンターで仕留めるお決まりのパターン。

最初の時間ではそれを狙っていたかと思います。しかし、ガンバの誤算は鳥栖の左サイドでボールを奪えずにシュートで終わらせてしまった点ではないでしょうか。

 

 クエンカの質的優位(個の力の強さ)によりガンバはクエンカに対して2人がついてしまって明確なマークや、奪いところが定まっておらず、三丸、原川が高い位置を取り、クエンカからのパスの受け手となり起点を作りました。さらに金崎もボールを受けにくることでひし形の関係性も作り出し、菅沼を引き連れ、三丸のクロスから空いたスペースに豊田が飛び込むという攻撃パターンもできていました。

 前半15分には三丸が受けて、コーナーを取り、1点目に繫りましたし、前半36分には原川がクエンカとのワンツーの受け渡しでキーパーとの1対1を作ることができました。

 

・ガンバのポゼッションポゼッションに対して

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 ガンバは鳥栖にボールを持たせておくと左サイドで起点を作られてしまうため、前半8分からボールポゼッションの時間を作ろうとハーフスペース(オレンジの部分)を起点として攻撃を組み立てるようにシフトしました。もう1つの狙いとしては幅をとることで鳥栖の守備のコンパクトさを無くしたかったのだと思います。

ガンバとしてはアデミウソンに入れて、攻略をしたかったところでしょうが、アデミウソンに入ったところで松岡が外側のパスコースを切りつつ、福田と挟み攻撃の起点を作らせませんでした。また、前線では豊田、金崎がビルトアップの出口を探ろうとする最終ラインの3人と倉田に対して2度追い3度追いしてくるのでガンバの最終ラインは自由にボールを運べず、戻したところでも2人が寄せてくるので、ロングボールを蹴らされる形になりました。

 ガンバの両SBは高い位置を取ったもののボールを受けれない場面も多く、ネガティブトランジション(攻撃→守備の切り替え)の場面では体力的にも厳しかったかと思います。

・松岡、福田の連動性

ガンバで怖い攻撃はアデミウソンを起点としたところではないでしょうか。前半37分には福田がスピードで置いていかれてしまい最後のドリブルが大きくなったため高丘が止めることができました。

ただ、危険な場面を作らせたのはそんなに多くなかったかと思います。それは先ほども述べたようにガンバがアデミウソンをハーフスペースに置いた点も関係すると思います。また、松岡が鳥栖から見て左から右に振られた時スライドしたり、前へいくときは

福田が松岡の空けたスペースをうまく埋めており、相手に攻撃を組み立てさせませんでした。

 

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・ガンバの試行錯誤

ガンバはヤットが降りてきたり、アデミウソンが逆サイドに移動して数的優位を作ったり状況を打開しようとしましたが、鳥栖のコンパクトな守備は崩せず逆に渋滞していたように見えました。

ガンバが鳥栖のコンパクトな4−4−2を崩すとしたら最終ラインの裏をとる動きでズレを生じさせるべきだったかと思います。1度遠藤からワンタッチで裏へ抜ける動きをSBがして良いシーンだったかと思いますが、何度も見られた動きではなかったため鳥栖のズレを作ることはできませんでした。

 

・後半に入って

後半に入って鳥栖の左サイドは前から奪いにいくようになりました。

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ガンバとしては自分たちの右サイドからハイプレスがくるのは予想外だったのではないでしょうか。正直、鳥栖の左サイドは右と比べて攻撃面では厚みがありますが、守備耐性はそんなに高くないです。

相手右CBにボールが入るとクエンカがプレスをかけ、原川、三丸がさらに連動して守備網にかけることができました。

今までの鳥栖だとまずクエンカに守備の役割があまり与えられていなかったため連動した守備が見られませんでしたが、恐らく監督が前からいけという指示を出していたかと思います。それを忠実に守るクエンカはさすがだと思いますし、その結果、原川の守備のタスクも少なくなり、三丸も迷いなく前へ行き奪うことができました。

後半すぐ3回ほど鳥栖の左からプレスに行きましたが、全てにおいて成功していました。ガンバとしては右は福田、松岡で阻まれ、左はクエンカ、原川、三丸に阻まれ、自分たちの時間に持っていくことができず、後半の入りとしては非常に悪かったです。

 

・2点目

鳥栖の2点目は豊田が競り勝ち、クエンカが収めたところでハンドリングを誘いました。左の崩しだけではなく、繋いでいるときに苦しくなったら豊田目掛けて蹴るそのような狙いもありました。何度も述べているように非常にコンパクトな距離感なのでクエンカが拾うことができました。

 

・守りつつ攻撃にも

明輝監督は金崎に変えて義希を投入しました。松岡のところをそのまま代えると思っていたので意外な交代でした。そして並びは原川トップ下でボランチの位置に義希が入りました。中盤の守備強度を強めつつ、ボールの配給役としての原川を残すことで自分たちの時間を生み出し続けました。また、攻撃パターンとしてはシンプルに豊田ターゲットでクエンカ、原川、松岡、義希がボールの回収役で後ろ4枚と福田は残すことでリスク管理をしました。ガンバは終始自分たちの時間を作れず、疲れから走れなくなっており、鳥栖とは違いライン間が大きく空いており、ボールを奪い切ることが全くできなくなりました。

最後、原川に頑張ったご褒美のこぼれ球で決めたあたりもある意味明輝采配が的中したようにも思います。

ガンバの食野に1点を返されたシーンでは強いてあげれば簡単にスライディングで飛び込みすぎたのかなと。ただ、あの細かいタッチで疲労が溜まっている時間にこられると厄介ですね。今後スタメンで見てみたい選手の1人です。

 

・最後に

前線からのプレスのおかげで鳥栖が優位にゲームを進めることができました。気になるのが今後トーレスをどう使っていくのか。豊田、金崎と同じ役割をさせるのか、それとも違った組み立てをするときのときに使うのか、使い方が非常に難しくなったように思えます。ただ、クエンカが前へのプレスを見せたようにトーレスも献身性は非常に高いので豊田のような役割は受け入れるはずです。もしくは豊田に2度追い3度追いの役をさせてトーレスは守備コースの限定をさせるなどの使い方でもいいはずです。私が、トーレス好きなのでスタメンで使って欲しいというエゴもあり、トーレスを活かす方法も見つけ出してほしいです。

あと、三丸と豊田の関係性はさすがであり、三丸が迷いなくクロスをあげられていたように見えました。早くこの2人からのゴールも見たいと思っています。