サガン鳥栖対鹿島アントラーズ
・両チームのスタメン
鳥栖は小林→三丸、秀人→新加入のパク・ジョンス、ヨンウ→福田、トーレス→豊田となり守備をしっかりしつつ、三丸のクロスに期待してたかとおもいます。
新加入のパク・ジョンスのいきなりのスタメンは驚きましたが、早めに使っておくことで今後の不測の事態に備えたかったのかもしれません。
・前半の戦い
両チームはそこまでハイプレスにいくことなく最終ラインから入ったところで厳しくプレスにいくためどちらが主導権を握ることなく試合は進みますが、鹿島は一つ一つのプレーが丁寧で例えばボールを相手を背負ったときに必ず落として受ける味方がいる関係を作っていたり、空いたスペースを使う関係性が作れていたりして徐々に鹿島ペースとなります。
失点シーン
そんな中、前半17分に失点してしまいます
このカウンターを食らう前に祐治がうまく運び出し、ロングパスから豊田が競り勝ち、クエンカからの惜しいクロスがありました。
クリアされたボールはセルジーニョが収め、レイオフの関係で前を向くことができ、2人に囲まれつつもSBが空けたスペースに走りこむレアンドロにパスを出します。鳥栖としては2人でいくのであればファールをしてでも取りきらないといけないですが、最終ライン付近からここまで走りこんでいたレアンドロもさすがでした。
突破された鳥栖はずるずるさがってしまい祐治がPA内でファールを犯してしまいましたが、できればこの場面マークの受け渡しを早めにしてPA外で早めの対応をしてもらいたかったところではあります。
祐治に批判が集まっていますが、わずかな差で足に触れてしまったかと思いますし、明らかにボールにチャレンジしようとしていました。できれば身体を入れてなんとかしてほしかった場面でもありますが不規則なボールの動きもあり難しかったかもしれません。
前半21分に原川、福田、松岡、原へとワンタッチでサイドに展開しましたが、原は豊田へのクロスを選択しましたが跳ね返されました。
(鹿島の選手名がずれています)
この場面無理にクロスを上げるのではなく、一度金崎に預けて原がリターンでうけ、豊田に折り返すというパターンのほうが確実性があったかと思います。
鳥栖は最後のところをどう崩すかがまだまだだと思うところがあるので早くここのところをどうにかしてほしいところではあります。
・三竿の守備
鳥栖にとって三竿がとても邪魔(褒めている)でした。鳥栖の左サイドは徹底してクエンカについていき全体として人につく意識が鳥栖の左サイドに関しては高かったです。
前半38分なんかは松岡がハーフスペースでCBを引き連れ原から金崎へいいパスが通りましたが、三竿の戻りが早くスペースを埋められてしまいました。三竿は終始このスペースを埋める働きが優れていました。
鳥栖の同点弾ですが、このシーンも三竿がクエンカへのパスコースをうまく遮断していましたが、それなら思いっきり打ってしまえというような気持が表れていて良かったです。
人につく意識が高い鳥栖の左サイドに対して永木がクエンカのところまでついてきます。そうなると一時的に三丸がフリーになり、遅れてレアンドロが対応しますが、空いたスペースを金崎が使い、戻ってきた永木をかわし、45度の角度からシュートを放ちました。このように金崎が流れて受けても豊田がいるため相手はクロスの対応で中央に意識が向きますし、松岡も絞ってきてゴールに向かう動きは非常に素晴らしかったです。オフサイドだったかはさておき打てば何かが起こることは間違いないので、鳥栖としては枠内シュートを増やしていくことに今後期待を持ちたいです。そのためには金崎のようなミドルが打てる選手にかかってくる部分も大きいです。
・鳥栖の失点②
2失点目では鹿島の良さが詰まったシーンがたくさん出ています。
鹿島は終始縦パスで1つ飛ばしのパスをしており、空間を見つけるのがうまいセルジーニョがいてなりたっているようにも感じました。
この場面では伊藤ですが、最終ラインから縦パスが入ります。このときレアンドロは降りる動きでパスコースを生み出し、受けた伊藤は永木にパスを出し、伊藤に食いついたジョンスの空けたスペースにワンタッチで出し、レアンドロが走り込み、クロスを上げて、白崎に決められました。
鹿島は人がどこにいてどこに空間があるかがわかっているので、最終ラインで3人で回しつつ、フリーな選手を見つけ、どこから攻撃を進めるかを決めているため、ワンタッチパスなどができています。
・後半の戦い
これといった決め手を欠く鳥栖は早い時間に福田に代えてヨンウを投入します。しかし両者コンパクトなラインでドリブラーのヨンウをあまり活かせる機会はなく、孤立していたようにもみえました。71分に祐治から逆サイドのヨンウへロングパスが通り、ヨンウが相手2人を引き付けたところから原がインナーラップで入ってきてシュートは放ったシーンがあり、こういった展開をもっと生み出せば鳥栖の右サイドにも守備の意識がむくため鹿島の守備ラインのズレを生み出せたかもしれません。
クロスに関していえば、50分福田から豊田への惜しいクロスもあり、後半は前半に比べてクロスの本数は多かったようにも思えますが、クロスがただあげるだけになっている印象を受けます。鹿島のクロスは正確にどこを狙うというのがはっきりしていましたが鳥栖はどうしても相手の前で弾かれるクロスが多く、ニアに走り込む選手がいるのなら良いのですがそうしたわけでもないです。クロスを正確にあげることではじき返されてもそのあとの2次攻撃、3次攻撃に繋がり、厚みのある攻撃につながるかと思います。三丸、原にはそこのところを期待していきたいですし、やれるはずです。特に原はドリブルに自信を持ち始めたのかここ最近いい突破がみられます。もしホームで原がドリブルを仕掛けて失敗しても観客のみなさんにはため息ではなくよく仕掛けたというような声援を与えてほしいです。
後半のビルトアップで目立ったのが、前半豊田に当てるパターンが多かったですが、福田がビルトアップにCBと加わり、原川がビルトアップの出口になる場面が見られました。原川は相手を背に向けたとき、相手の力をそのまま利用して前を向くことができていました。ただ残念なのがそこからどうするかという形が見えず、原川が前を向いたとき前線の豊田、金崎、松岡が前に同時に走りこんでいたのですがこのとき松岡が相手の間で受けることができていれば、金崎か豊田に決定的なパスを出せたかもしれませんし、右SBの原にもフリーの状態で渡せたかもしれません。
・最後に
鹿島は基本的な動作が上手だったなとそれにつきると思います。試合を通してオープンな展開になることも少なく一つ一つを丁寧に繋いでいく結果がそのまま表れていたかのようにみえます。鹿島が常に上位にいる理由が見えたかと思いますし、鳥栖はこの鹿島を見習うべきかと思います。何年かかってもいいので誰が出てても基本のベースは同じで誰もが当たり前のことはできるという簡単なようで難しいものですが、鳥栖も小さいクラブでありつつ常勝チームであるような時代をみたいです。
話は変わりますが、祐治が退場になりおそらく2試合の出場停止になるかと思いますが、落ち着いてプレーしていたジョンスと秀人のコンビになる可能性が高いでしょう。連敗の中CBの組み合わせも変わり、バタバタ感は鳥栖らしいなとも思いつつ、そんな楽観視もできない状況にもなってきているので、そろそろ結果もほしいです。
祐治が退場したとき秀人がすかさずフォローにいっていたのを見ましたが、一緒に出てプレーしていた選手から言われるのでは気持ちの整理がつくのではないでしょうか。
祐治は決して悪いプレーをしたわけではありませんし最後のイエローも抜けていれば決定機の場面でした。彼なりに一生懸命やった結果でありそれをとやかくいう権利はありませんし、祐治が毎回サポーターのコールに深々とお辞儀する姿を見るととても責める気持ちなんてなりません。
話は長くなりましたが、厳しい戦いになるのは間違いないですが、とりあえず気持ちを切り替えてやるしかありません。
サガン鳥栖対広島
・両チームのスタメン
鳥栖は4-4-2で福田に代わって松岡が入りました。
広島は3-4-2-1で前回鳥栖と戦ったときのメンバーとは何人か代わっていましたが基本的な戦い方は変わってはいないように感じました。
・広島の試合巧みさ
鳥栖は前半早々2トップとクエンカで嵌めようとしたが、広島はそれに応じる形でCHの1枚を下げ、プレスを回避するようになります。
常に1枚下げるわけではなく状況に応じて下げる形で2トップしかプレスにこないのなら3人で回して前進を図っていました。
そのため鳥栖は前からの積極的なプレスはそこまで行わずブロックを組みつつ相手のIHやCHにはいったときに厳しくプレスにいくようになります。
クエンカ、ヨンウもそこまで前へのプレスに行かないため相手のWBに対応できる距離感にいてそこまでのピンチはありませんでした。
・チャンスは作るが決定機は作れない鳥栖
チャンスと決定機って同じじゃない?って思われる方いるかもしれませんが、自分の考えとしてはチャンスは得点の可能性10パーセント、決定機は50パーセントそんなイメージです。
前半トータル、後半失点するまでは鳥栖のペースだったといえましたが、広島としては5-4-1の組織的に守ってさえいれば決定機は作られることはないから別にこのまま鳥栖に攻めさせててもいいやっていう感じ
広島は鳥栖が後ろから繋いできてもそこまではプレスにこず、基本的に5-4-1のブロックを組む形で鳥栖は相手の最終ラインまではたどりつきますが、完全には崩し切れていない印象をうけました。
前半のいくつかのチャンスをあげて決定機を生むにはどうすべきだったかをあげていきたいと思います。
事例1
前半14分のシーン
金崎がトーレスにパスを出してシュートを打ってもらいたかった場面でしたが、合わずにチャンスだけをつくった場面でした。
このときトーレスは2人のマークがついておりクエンカについていた選手もトーレスを気にしており、トーレスとしては窮屈な状況でした。
このときクエンカが比較的空いているCB間をダイアゴナルの動きで走り抜けていれば決定機を迎えていたはずです。
事例2
前半17分
この場面は左サイドで原川、クエンカ、原がグループで崩していこうとしているところでした。左サイドはクエンカのキープ力で奪われることはないのですが相手から徹底されていて攻撃が詰まる場面がみられます。このときも中央を通そうとしてカットされてしまいました。ここはどうすべきかというと逆サイドに展開していくのもいいですが、もっとWBやSBを釣りだした裏を突いていくべきです。
理想としてはパスを回して動いてを繰り返してタイミングよく裏に飛び出す動きがあっていいと思いますし、最近よくやるSBの中盤化をさらに活用して数的優位にして裏使えばいいじゃんとも思います。どういうことかというと
小林がこの位置にいて思いっきり裏を使う動きをしてみたらということです。
もしそれがうまくいけば最終ラインから1人釣りだし、ズレが生じてトーレスのニア側が空いてきますし、トーレスが引っ張って金崎がマイナスで受けてシュートを打てる決定機を作れます。
小林がいなくなったら守備いなくなるじゃんっていう人もいるかもしれませんが、攻撃をするというのはそういうものでシュートで終わればなにも問題はありません。万が一の場合に備えて運動量豊富で危機察知に優れている松岡を後ろに余らせています。
要は敵を引き付けて空いたスペースを使うのが1番決定機を作れます。
広島は攻撃のときそれが徹底されていて前半開始早々の21秒のシーンで
松岡と小林2人で取りに行っているのでそこで取りきらないのも問題ですが、柏はSB,CBの間を使ってパスを受けクロスを上げて惜しいシーンを作りました。
広島は終始ダイアゴナルの動きや空いたスペースを使う動きを徹底していて効率よく攻撃を進めていました。
・水を運ぶ松岡
誰もがこの試合松岡はよかったと思っているのではないのでしょうか。彼を中盤で使った方がいいのもこの試合でみえました。
まず、守備の面では福田と同じくらいハードワークできる点でこれはSHで使われていたときから分かっていたことかと思います。
攻撃面でこの試合何度も攻撃の起点となる対角線のパスを出した点で彼の素晴らしさをみました。
前半18分の場面ですが松岡が持ち運び相手2人を引き付けつつ、自分でパスを出せる角度を作り出し、クエンカへパスを出してシュートまでの起点を作りました。
トーレスが裏に抜けてパスを受けていれば得点の可能性はより高まったかと思われますが、当初からそういうパスはこないと諦めているような残念ながらそんな気もします。加入当初から鳥栖にそうしたパスが出せる選手が少なかったため仕方ないところはありますが、、、
松岡はこのような対角線のパスを出して起点を作ろうとボールをもらう前に何度も前にスペースがあるか、どこに味方がいるかを把握するために首振りをしているように見えました。
対角線のパスがなぜ有効になるのかというと対角線にいれられると同一視野にいれられないためボールの入った先を把握するための時間を取らないといけなくなります。
その間にパスを出した側は3人目が(ここではトーレス)敵のマークを外し、フリーで受けられます。
松岡は起点となるパスを3回ほど通していますし、前半22分には松岡がボールを持っているとき対角線上に出せるのに味方がそこにポジションをとらないためそこにいてくれと明確に指示していました。
また、イニエスタが優れている空間を使うという認識もこの試合みせて、後半57分にトーレスへ軽く浮かしてスペースへパスを出しました。
まさに水を運ぶ役割をした松岡で今後は中盤で使われる場面も多くなると思いますし、場合によってはSBをさせて偽SBをさせても面白いのかなとも思います。
・1対1でチャンスを生み出す鳥栖
原とヨンウの仕掛けは非常に効いていました。原は以前とは違い自信を持って仕掛けをして後半66分にはヨンウがゴールに向かっていっていれば1点というところでした。
ヨンウは1対1をサイドで作れば最低でもクロスまでは持って行ってくれました。また、ヨンウの1対1を作るため小林を内に絞らせていました。
後半56分にはヨンウがWBと1対1を作りCBとWBの空いたスペースに金崎が走り込みポスト直撃のシュートを放ちました。
・後半も試合が巧みだった広島
後半広島は相変わらず相手を釣りだして空いたスペースをうまく使っていて、狙っていたのかなと思える場面で原川がサイドに釣りだされたときにそこをCHやIHがついてきました。
1点目のシーンは事故だとしても2点目は渡がサイドに逃げていく動きで鳥栖の2人を引き付け空いた内側をハイネルがカットインしてゴール決めたあたりは再現性をもって取り組んでいるためゴールになる可能性が高かったと言わざるを得ません。
一方鳥栖は59分に原川、クエンカが右に加わり数的優位で崩そうとしましたがそこから先どうしようかというような感じで再現性が感じられませんでした。
例えば、川崎とかですと家長が数的優位を作るために逆サイドに流れてきて崩しの起点となる場面がよくみられます。
もしも金崎のポスト直撃が入っていれば、福田のヘッドが決まっていたらなどはありますが、再現性を持って得点を決めた広島に軍配が上がったのは当然だったかもしれません。
・最後に
鳥栖は押していた感じはしましたが、結局はシュート本数は広島と同じで枠内シュートは鳥栖2本に対して6本という結果をみても広島の思い通りに試合を運ばれてしまいました。鳥栖は今後シュートまでもっていくにはどうするかを課題にすべきではと思います。そのためには例えばサイドからの突破が成功したときは第1選択肢としてどこにクロスをまず入れるのか、第2選択肢として、というような共通認識を全員でしっかり共有すべきです。
失点も実質1点だとすると前節から比べ守備は大幅に改善されました。あとは攻撃面の最後の崩しで決定機を作れるかにかかっています。次節こそは後半戦初勝利といきましょう。
サガン鳥栖対清水エスパルス
3連敗という中でどうしても負けられない戦いでしたが、勝ちきることができました。試合内容はどっちに転んでもおかしくない内容でしたが、こういう試合を勝てるようになると降格圏からも抜け出してくるでしょう。
・両チームのスタメン
鳥栖はトーレスが久々のスタメンで結果としてはこの起用が大当たりになりました。
また、三丸に代わって原になりましたが、この起用の意図としては切り返したときにクロスをキーパーに向かう方に蹴れたり、クエンカに戻して組み立てたりとすることだったかと思います。さらに言えば後述しますが、右利きだとインナーラップで入ってきてそのままシュートにまで持ち込めることも加味していた可能性もあります。
清水は4−4−1−1の並びでドウグラスの得点力が怖かったですが、それにやられた感じでした。北川が去年ブレイクしただけに存在感が消えつつあるのが気がかりではあります。
鳥栖の前半
前半は鳥栖の左サイドでの攻防でした。
今節の左サイドの三角形の関係を作るのはクエンカ、原川、原でそこに2トップのうちどちらかが絡んでくるような形でした。
清水のヘナトはそこまでサイドには寄せる守備をしなかったため原川にSHがクエンカにSBがつくと原が浮く形になります。
原川のFKでのゴール前のクエンカがもらったファールは原が浮いたところを気にするエウシーニョが簡単にクエンカに飛び込めず対応が遅れてしまったため起こった場面でした。
清水は北川まで下がってきて5−4−1のような形をとるシーンが見られ、そうされるとさすがに手詰まりになり今までの鳥栖だと下げてやり直しをする場面であったのですが、前節からの小林の中盤化が活かされるようになりました。
小林の中盤化
2点目のシーンの少し前ですが、清水の最終ラインをなんとか崩そうとしますが、できなかったため中盤に位置した小林にボールがでます。小林のところからですと、少なくとも矢印で示した3つのパスコースが現れます。(恐らく福田と金崎を間違えています)この場面ではトーレスの頭に当ててヨンウに流れていき、正確なクロス、トーレスのさすがの位置取りとヘディングの強さでゴールへ導きました。
小林が内に絞るこの役割は前節から非常に効いてて、いいタイミングでいるなという印象です。
少しだけ自分の経験を話すと、私はSBでサッカーをしていましたが、タイミングよく上がらないと全体のバランスを大きく崩してしまってました。ただ、SBはフィールドの全体を見通せるためどうしてもここで上がってこうしたいという欲望がよく湧いていました。小林はタイミングよく上がるべきところで上がってこなしているのでそうしたところが彼が好きな理由です。
ついでに話してしまえば3点目のトーレスへのクロスもいいタイミングで後ろにフォローにいっていました。
クエンカが生み出すグループの優位性
2試合ぶりにスタメン復帰となったクエンカでしたが、彼の力はやはり偉大だなと改めて感じました。クエンカは右サイドに流れてくるときもありましたが、このパターンは非常にありだなと思います。理由としてはクエンカはグループの中でより活きると考えているからです。
どういうことかというと、クエンカはスピードがあるわけではないので広いスペースの中で1対1で勝負して抜いてそのまま持ち運んでシュートというシーンはあまり見られません。ヨンウでしたらそうしたプレーの方が得意でしょう。
クエンカはどちらかというとグループの中でボールをもらいながら周りに時間と空間を与える役割をしつつ自らもフリーになるところを作る動きを得意としています。
前半30分のシーンですが
クエンカがグループに加わることで右サイドでボールを持つ時間を作り出せて、かつ、清水のSBとCBの間に大きなギャップができました。
ここに金崎が走り込み、中盤化する小林が走り込み厚みのある攻撃ができました。
清水の攻撃パターン
一方清水の前半はどう鳥栖を崩すか模索しているような感じでした。
前半の初めはドウグラスにロングパスを当てて北川が拾うような形や北川やIHがCB、SB間を抜けるような動きで一発を仕留めようとしましたが鳥栖のセットされた守備だとなかなか崩せません。
そんな中でクエンカが開けたところを狙う場面が次第に目立ちます。
クエンカがボールホルダーにつく意識が強いため、飛び出してしまいSHをフリーにさせてしまう傾向があります。
そうなると図のように原がSHとSBの2人を見ないといけなくなり、対応に困る場面が目立ちました。同点に追いつかれた場面もクエンカがボールホルダーにいってしまった結果サイドを開けてしまってそこからクロスをあげられたためでした。
そこに気づいた清水はSBが高い位置を取り始め幅を使う攻撃を仕掛けてきます。
鳥栖の右サイドはヨンウが比較的守備を頑張っていたので崩壊することはなかったのですが、左サイドではクエンカの開けたところの対応ができないままでした。
カウンターのような形になってはしまいましたが、清水の2点目のコーナーの前のシーンも大きく空いていた左サイドを使われました。
前半40分くらいに清水がこの試合を優位に進めていく形を作りました。
最終ラインのCBが幅を取り、鳥栖の2トップのスライドを間に合わせなくして縦にパスを通すことで鳥栖の意識を中に向けさせ、サイドに振ることで良い展開を作り始めました。
さらに攻勢を強める後半の清水
清水は鳥栖のCHの食いついたところを利用してドウグラスに当ててサイドへ展開していくことで攻勢をさらに強めていきます。
一例ですが図のような動きが頻繁に見られました。
左サイドだけでなく右サイドが空いていれば右サイドに振り鳥栖としては我慢の時間が続くようになります。
それでも完全に清水のペースにさせなかったのは鳥栖の左サイドでの優位性であり、クエンカが時間を作れるからでもありました。
そうした展開の中秀人のゴールが決まったことは大きな試合の分岐点だったかと思います。簡単に決めて見せましたが、角度的にもあそこしかなかったですし、抑えの効いたシュートはさすがでした。
最低でも2点を取らないといけなくなった清水は4−1−4−1へとシステム変更しますが、
アンカーの脇でクエンカが活きるスペースを与えてしまっていたのでそこのところはどうなのかなと思いました。
ただ、ヘナトの守備の貢献度が素晴らしかったです。
ヘナトの守備
90分のシーンですがSB、CBの空いたスペースを原がインナーラップを仕掛けて狙いますが、そこをヘナトが埋めました。そうした動きがヘナトは終始素晴らしくて鳥栖に追加点を与えることはありませんでした。
試合をクローズさせる豊田
クエンカの開けたスペースを埋めていたのが後半終盤に投入された豊田であり、場面によってはクエンカと豊田のポジションが逆になっているときがありました。
自分の役割を理解してそれを果たす豊田の姿を鳥栖の選手たちは引き継いでもらいたいです。
最後に
トーレスのゴールは今後チームにいい影響を与えていくと信じています。豊田との両スタメンも見てみたい気がしますがどうでしょうか。
また、今節SBのインナーラップなど攻撃のバリエーションが増えてきており、鳥栖の得点も増えていくんではと思います。あとはクエンカがもう少しゾーンの取れる守備をしてくれればいうことはない強いチームが見えてくるはずです。
サガン鳥栖対コンサドーレ札幌
トーレスの引退発表というショックなニュースがあって迎えた札幌との試合でした。結果としては3連敗となってしまいました。前半何もさせてもらえませんでしたが、後半の修正力で同点に追いつくかという展開まで持って行けました。今回は主になぜ後半修正できたのか、そして最後にトーレスについて述べたいと思います。
・両チームのスタメン
札幌は3−4−2−1でボール保持時は3−2−5や2−3−5で攻撃的であり、また、前からその並びのまま前から奪いにくるのである意味守備的でもあります。世間で言われるところのミシャ式。正確なクロスを左から上げられるので福森がキーマンになるかと思いましたが、今節は欠場でした。
鳥栖は今まで通り4−4−2ですが、前節好調だったヨンウが今節もスタメンに。あと驚いたのが松岡のCHでの起用でした。今までは右SHでの起用でしたが、札幌の攻撃力を考えて福田と並べることで守備的に行きつつもヨンウのところでカウンターで点を取りたいそんな監督の思惑が見える布陣でした。
ただ松岡が前半の10分の早い時間帯で負傷により交代を余儀なくされました。その前のルーカスとの競り合いの後でずっと腰を気にしていたのでその際に怪我をしたと思われます。軽症であることを祈るのみです。
松岡交代して小野が入ったあとは以下のような布陣に
・チャナティップに翻弄される鳥栖
3−4−2−1と4−4−2では図のようにズレが生じてしまいます。
札幌の両WBが上がると小林、三丸がIHとWBを見ないと行けない構図になります。
鳥栖はこうした布陣の相手と戦う場合はコンパクトな4−4−2を敷いて相手のハーフスペースを消しつつWBに入ればスライドして奪い切る守備組織でした。
しかしそれは中盤の4人のライン間が紐で繋がれているような状態を保っていないとダメで少しでも乱れるとハーフスペースやサイドへ展開され相手に起点を作られてしまいます。
今まで右サイドはSH松岡CH福田の守備的な2人で相手の思い通りにさせませんでした。
今節使われているSHヨンウは松岡と比べるとそこまで守備の統一は図れません。
しかし、ヨンウが悪いというわけではなく、彼にカウンターのタスクを与えているために福田と同じラインに立てない理由があるわけで松岡との起用の差は守備をとるか攻撃をとるかになります。
当初のプランだと福田と松岡2人をCHにおくことでヨンウが戻ってこれなくてもカバーしようとしていたかもしれませんが、不測の事態でそのプランは崩れてしまいました。
また、鳥栖はある程度の前進は許しますが、札幌に最終ラインと荒野で回されて組み立てられるのを嫌がってセンターサークル付近までくるとドンゴンと金崎に加えて福田が前へプレスにいくようにしていました。
福田が前へ行くと当然そこにスペースが生まれ、そこをチャナティップが降りてきてパスを受ける場面を作られていました。
1点目の失点のコーナーキックのきっかけとなったのは、やはりチャナティップが受ける形からでした。
相手の最終ライン左からの持ち上がりに対して福田が寄せていき、空いたところにチャナティップが受け、鳥栖のSBとCB間に通されかけた危ない場面でした。
チャナティップは降りて受けるとSBとCBの間にパスを通すようにしていて恐らくチームとしての共通認識だったと思います。
そのような場面が前半26分や後半64分などに見られました。
2点目のコーナーキックのきっかけもチャナティップが間に受ける動きからであり、鳥栖の陣形が整う前に間で受け、小林が外側のWBとチャナティップの2人の対応に追われていました。
さらに札幌はビルトアップに困ればジェイに当てるという場面も見られ、攻撃のパターンには困っていませんでした。
・左サイドからの組み立てに苦しむ鳥栖
組み立ては主に左サイドで行っていましたが、札幌の3−2−5で押し寄せる波に揉まれてしまい全く前進できませんでした。
鳥栖は豊田がいるとプレスに困った時の豊田頼みで一気に前に畳み掛けることができましたが、前節に引き続き今節もいません。前節の浦和よりも前からプレスにくる札幌に自信を失ったかのように全く効果的でない短いパスが続き、前半の31分にロングパスで小野からの折り返しのドンゴンの惜しいシュートこそはありましたが、それくらいでボールをロストしてしまう場面が目立ちました。
前半20分では秀人の横パスをチャナティップにインターセプトされロングシュートを決められそうになりました。
逆サイドの小林がフリーだったので飛ばしてパスを出せたらよかったのですが、怖がって安全なところ(実は安全ではない)に出してしまいピンチを迎えました。
鳥栖は全体的にもらう位置が低すぎて、それが意図して低い位置で受けているように感じませんでした。誰かが低い位置で受けたならば代わりに高い位置を取ってそこでパスを受けなければ、ボールを戻すだけでコースも敵に読まれてしまいます。
相手が前からくる時の対処法として前半28分に良いシーンがありましたのでそこを紹介します。
小野が降りて受けたところに進藤がついてきたので一度、三丸にボールを預けます。そして小野はルーカスが空けたところに走り込みボールを三丸から受け、さらに進藤が空けたところを原川が使いました。この攻撃の流れは相手が前からきた際に空けたスペースをどう使うかが詰まっていると思います。欲を言えばもう一度三丸が絡んできてPA内に侵入してきても面白かったのですが、小野が原川からリターンでもらいクロスをあげて、中とは合いませんでした。
このように左サイドで高い位置を狙い、連動した攻撃をもっと見せて欲しかったです。
・ヨンウを活かしきれず
前節の浦和はカウンターからヨンウが何回かチャンスを作りましたが、札幌は奪われてもその場で即時奪回を目指すスタイルのためそれにはまった鳥栖はヨンウまで届けることができずすぐに奪い返されました。
札幌に押し込まれていたのとジェイがいたためラインが全体的に低く、低いところで繋いでいるうちに相手にパスコースを遮断されてしまいました。
また、鳥栖のアタッキングサードに持ち込まれてもすでに武蔵、チャナティップまで戻っていて攻撃が詰まってしまう場面も見られました。
・後半の修正点
前半ズタボロにやられた鳥栖はどう後半に修正するか注目していましたが、思い切った策を明輝監督は取ったと思います。
非ボール保持時の配置は4−4−2で変更はなかったのですが、ボール保持時に大きな変化が見られました。
図のような配置を取る場面が多く見られました。
小林が内側に絞る偽SBと言われるやつです。
※偽SBとは、SBが内側に絞ることで最終ラインからの出し所が増え、またサイドに出すと1対1に持っていきやすく質的優位で勝負しやすくする作戦のこと
主に小野が最終ラインに落ちて小林、福田に出せる状況を作り、場合によっては高い位置を取るサイドに展開できるようになりました。
この配置によって札幌は出し所の制限が取りにくくなり、前線3人に加えて中盤の2人は連動したプレスができなくなりました。
その結果次のような場面も生まれるようになりました。
後半58分や75分に図のような展開が見られました。秀人が持っている間に福田と小野が流動的に動いて縦パスを前線に当てられるようにコースを空けていました。
金崎が受けたときには収めて前を向いた福田にパスを出し(レイオフの動き)ルーカスの裏を三丸が狙う動きが見られました。
イバルボが受けた場合は持ち前のフィジカルで自分で前へいく場面も見られました。
また、ヨンウが縦に抜けない体勢でボールを受け、白井と1対1を迎えた場面が2、3回ありましたが、彼は下げることなく、内側の空いたスペースを狙って侵入していき好機を演出しました。この内側のスペースを作る役割には原川も絡んでおり、縦に抜ける動きで深井を引っ張り、ヨンウのために空間を作ってあげていました。
鳥栖の1点目はヨンウの1対1からの場面で原川が絡んでの得点でしたし、前半消されていたヨンウを後半は活かせることができました。
・偽SBの守備の時の利点
小林は内側に絞りヨンウのサポートは原川に任せることにして、後ろ側でカウンターのリスクに備えていました。
札幌がボールを奪うとチャナティップに預けようとしましたが、内に絞っている小林が立ちはだかり、何度か相手のカウンターを潰していました。
小林のポジショニングの良さが、急なシステム変更にも対応できたと思いますし、数々の経験をしたベテランだからこそできる技でした。
カウンターを潰すことで鳥栖の時間を多く作りましたが、3失点目は鳥栖の選手のパスミスで小林もわずかに対応できず、出足の早かったチャナティップから武蔵に通されどうしようもないシュートが決まりました。
・まとめ
前半早々に松岡の負傷で交代カードを1枚切り、思い切った交代ができない中で、配置の変更で後半は自分たちのやりたい時間にできていました。明輝監督とS級の同期の戸田さんといいこのあたりの方々は現代サッカーをしっかり学ばれているので、できたプラン変更だったかと思います。1つの形に捉われない明輝監督はさすがだと思いましたし、後半のプランが成熟していけば鳥栖はもっと面白いチームになるはずです。
・最後にトーレスの引退について
この戦術ブログを書こうと思ったきっかけがトーレスの加入でした。私は昔からあの抜け出す動きのトーレスが好きで今シーズンは彼が活躍する年になると思い、それなら真剣にサッカーを見ようと決意しました。実際、トーレスは今シーズン思った活躍ができず、私自身、負けた試合を見返すのが辛い時期がありました。
そんな時に思い出すのが、昨シーズンの横浜戦のゴールであり、初めてサッカーをみて泣きそうになった場面でしたし、どんな逆境でも跳ね返す力を間近で見せてもらいました。あの試合を思い出すことで、どんなに負け続けてもこのブログを続けることができましたし、その結果自分のサッカー知識が深まり、本当にサッカーが好きだと自信を持って言えるようになりました。
トーレスが鳥栖に来てくれたそれだけでも感謝しかありませんし、今後はアドバイザーとして鳥栖に残るという夢のようなことを言ってくれたときは震えました。
まだ試合に出るかと思いますので、最後のときまで彼の勇士を目に焼き付けたいと思います。
サガン鳥栖対浦和レッズ
サッカーって紙一重の戦いですね。前節も勝っててもおかしくないのになあっていう試合でしたが今節もそのような試合でした。こういう試合をものにできるかが上位に絡んでいける要因です。じゃあどうすればいいんだという話なんですが、結局はチームとしての成熟度が関わってくるような気がします。そんな意味でも分析には意味があるのではと思いつつ書いていきます。(私が分析したところで意味があるかわかりませんが笑)
目次
1.両チームのスタメン
2.浦和の守備
3.鳥栖の守備
4.鳥栖の攻撃
5.前半総括
6.後半総括
7.まとめ
1.両チームのスタメン
鳥栖は前節から両SHのクエンカ、安在に代わって小野とヨンウ、FW豊田に代わってドンゴンが入れ替わりました。心配なのがクエンカの欠場ですがどうなんでしょうか。
浦和は大槻監督に代わって柴戸と岩戸がスタメンで使われるようになりました。あんまり見たことがないので分かりませんが、両選手とも頑張る選手だなと思いました。大槻監督は理論的でもありつつハードワークを求めるタイプなのでそういう選手があっているのでしょうか。明輝監督と考えがすごく似ている部分です。
2.浦和の守備
図は鳥栖が左サイドに展開した場合です。
基本的に浦和のFWがキーパーと距離を詰めて、IHが鳥栖のCBとSBを見る
鳥栖のSBにボールが入ればWBがプレスに行って最終ラインはスライドで4枚にする
そのような形でした。
原川がボールをもらおうと降りてくると柴戸が付いてくる形になっており、自由にさせてもらえませんでした。
そして鳥栖はいつものクエンカがおらず時間を作っての組み立てはできずロングボールで相手を押し込んだところで戦うやり方でした。
3.鳥栖の守備
非ポゼッション時は4−4のブロックを組んで守る形でしたが、浦和が最終ラインから繋ぐ際は鳥栖のSHが相手のサイドのCBにプレスをかけていました。そしてWBにはSBが付いて行きました。鳥栖としては前で奪って得点を奪いたいそんな意図が見えました。そのような守備に浦和は苦しいパスが続き、鳥栖に奪われるという時間が前半は多かったです。
ネガティヴトランジション時(攻撃→守備)はいつも以上に強く激しくだったように見えました。涼しさもあってか体力の消耗をそこまで考えないで良かったからかガツガツいけていました。浦和に攻撃の自由を与えてないためにも素早く奪い返すがコンセプトでした。
4.鳥栖の攻撃
ポジティブトランジション時(守備→攻撃)はWBの空いたスペースを狙っていました。それが前半9分のヨンウが抜け出して小野のシュートからの福田のシュートに結びつきました。1対1なら負けないヨンウの質的優位を見事に活かしたカウンターだったと思いますし、ここぞとばかりのチャンスだと思い鳥栖の選手は5人エリア内に入ってきていました。ただ、浦和の選手たちも戻るのは早くて数的には同数もしくは不利な状況でした。それでも決定機を迎えられたのはヨンウが2人を引きつけたのとドンゴンが内側に抜ける動きで相手を2人引きつけ後方の小野をフリーにしたからです。良かった場面なので図で書いておきます。
ポゼッション時は先ほど述べたように無理して繋がないようにしてロングボールを蹴っていました。ただ蹴るだけではなくて決まりごともあったみたいで小野が相手WGを引き連れた時にその空いたスペースにドンゴンが走り込みボールを収めてもらう役割を担っていました。サイドを狙っていたのは豊田がいなかったため、もしも中央に蹴り込んでそのまま回収されて相手のFWやIHに繋がれるのを恐れていたのかもしれません。また、ドンゴンは体を張ってキープする能力に長けているので最適な策でした。
5.前半総括
浦和は無理にIHやFWに繋ごうとしてそこでボールを引っ掛けてしまう場面が目立ちました。前半6分柴戸からIHにワンタッチで繋ぎそこから興梠が受けシュートに持って行かれた場面がありました。
浦和としてはこうした展開を狙っていたかと思いますが、鳥栖の4−4のブロックに阻まれていました。個人的にはナバウトと柴戸の関係性が合ってないなとも思い、ナバウトがボールを受けられるポジションを取れずに柴戸がボールを引っ掛けてしまう場面が目立ちました。
鳥栖は相手の展開を封じつつ、ヨンウのカウンターを仕掛けました。さらにロングボールで相手陣地まで侵入して奪われてもカウンターをされる前に奪い返し、鳥栖の時間を作りました。そんな中、前半17分の先制点は生まれました。先制点の場面は最終ラインを5人で守るので浦和は人に付く意識が強かったかと思います。宇賀神はヨンウの近くに付いており、CBと宇賀神との間にスペースが生まれており、そこにうまく福田がクロスをあげて、ヨンウが飛び込んでゴールを決めました。宇賀神としてはもう少し内側に立ってスペースを消しても良かったのではと思う場面でした。
その宇賀神に同点ゴールを決められましたが、こちらは鳥栖がスペースに対する意識が強いために一番捨てていた大外がやられた感じです。
浦和はこの大外を後半を使って 後半息を吹き返しました。
6.後半総括
得意のカウンターを仕掛けようにも仕掛けられず、パスコースも塞がれた浦和は右で作って左の大外の宇賀神に展開する攻撃を見せました。
戸田さんが前半から浦和は単純にサイドに展開してもいいと思うと話していましたが、後半はサイドに展開することで1番大外のレーンが空いてくるのでそこを使っていました。さらに槙野がチャンネルラン(SBとCB間に入ってくる動き)でパスを受けようとする動きは鳥栖の最終ライン4人に対して浦和は5人となるので厄介でした。
その代わり逆にこちら側もスペースを得るわけで後半55分のヨンウのかなり惜しい決定機を生み出しました。
鳥栖は押し込まれてしまうとサイドを圧縮する形をとるので、先ほど述べたように大外が空いてしまいます。そのため後半の60分頃から再びSHがCBにプレスをかけに行き前から奪いにいくようになります。その結果鳥栖も若干息を吹き返します。
80分に安在が小野と交代で入り、マルティノスが柴戸に代わって入りましたが結果この交代が大きな分岐点だったかもしれません。
安在のタスクは相手サイドのCBを自由にさせず前からいく守備を第一にやらされていたかと思います。勝利が欲しい浦和はカウンターの応酬が生まれてきたことからもマルティノスを入れてよりカウンターを活かせるようにしました。
ただマルティノスはあんまり細かい守備はしないので鳥栖はCBからSBへの展開が楽になりましたが、浦和としては攻めさせておいてマルティノスのためのスペースが生み出せればそれはそれで良かったわけで。鳥栖はそうしたことを考えると攻撃は完結させなければなりませんでしたが、ファール覚悟でプレスに行った福田はかわされて、ボールは無情にも三丸の頭の上を通り越して興梠の元に行き、決勝点を与えてしまいました。
交代で入った安在は攻撃での、消極的なプレーでミスをしてしまって良い攻撃のリズムを生み出せませんでした。
結果的には勝負に出た大槻監督が当たった形になり、鳥栖としては引き分けでもいいけど勝ちたいなみたいな気持ちが出てしまって失点してしまいました。勝てそうな試合だったため気持ちが分かりすぎて攻めに行ったのは全く否定しません。けど、結果論ですが今思えば、勝ち点1でも良かったのかなと、、、
後半のまとめの最後に
戸田さんが鳥栖は福田が降りて4バックでボールを回してSBにつなげていってもいいかもしれないと言っていました。図解するとこんな感じでSBが浮いていました。
福田のところの守備の基準点をなくし、SBにマークしていた相手は福田に付かないといけなくなり小林が浮いてきます。そこでパスを受け小林が斜めにいる金崎にパスを出してヨンウもしくはドンゴンが裏に抜けるなどの動きを見せれば、良かったかもしれません。
7.まとめ
鳥栖は連敗を喫してしまいましたが、戦えるチームになってきたなとも思います。前節、今節ともあと少しで勝てたのにそんな実感が湧いてくるような試合だったかと思います。そうした試合を増やしつつチームとしての成熟度が増していけばと思います。
今節はヨンウが使えることを証明したので次節の札幌戦はどういうメンバーでいくのか。個人的には5−4−1で最終ラインに福田を組み混んで金崎IHとかやってSHにヨンウとかでもいいと思うんですけどやらないですよね。クエンカが戻ってきてヨンウもどこかで使えるのがいいかと思いますが、ヨンウの使いところという嬉しい悩みが1つ増えたことは良かったかと思います。
サガン鳥栖対セレッソ大阪
今節は金崎が報われると信じていましたが、叶いませんでした。あと少しのところでしたが、、、個人的にはロティーナ監督でどうセレッソが変わったのか気になっていました。きちんと見るのは初めてでしたがさすがだなという印象しかなかったです。かつてのセレッソは個人のフィーリングでやるイメージでしたが、今ではしっかり組織で戦うチームになっていました。そんなセレッソ大阪相手にうまくいっていたように見えましたが、実際はそうでもなかったかも?と思えたところも多々あったのでそうしたところを踏まえながら書いていこうと思います。
目次
1.両チームスタメン
2.両チームの狙い
3.効いていたデサバト
4.鳥栖の左サイドでの攻撃
5.スペースを生み出すセレッソ
6.鳥栖の右サイドでの攻撃
7.セレッソの選手同士の距離感の良さ
8.試合総括
1.両チームのスタメン
鳥栖は松岡が代表の関係で欠場。代わりに安在がスタメンでした。
セレッソは前節と変わらないメンバーとなりました。
2.両チームの狙い
左サイドを起点とするのは変わらないが、セレッソのSBが上がって空いたスペースにも狙いを定める
左サイドに攻撃に強みを持つ清武、丸橋がいるのでそこを使いたい
ポゼッションで自分たちのリズムを作る
鳥栖はポジティブトランジション(守→攻への切り替え)の際、三丸が何度か松田の空けたスペースを目掛けて放り込んでいました。ただ狙いがクエンカになっており、松田との競争では松田がボールに追いついてしまって回収されてしまう場面が前半の始めに何回か見られました。こういうサイドにラフなボールでも収めてくれるのはドンゴンのような選手であり、クエンカへの縦のロングパスを通そうとするのは果たしてどうなのかなと思うところでもありました。
ただ、ボールポゼッション時に最終ラインから繋ぐ際に左サイドでうまく組み立てて相手深くの陣地まで侵入できていました。(後述します)
セレッソは清武が狭いスペースでボールを扱えるのでハーフスペースで受けたところで相手のマークを混乱させたい。もしくは丸橋に通してそこから組み立てたい思惑が見えました。しかし、安在が松岡と同じような役割を果たしており、福田とともにハーフスペースを消す仕事をしていました。また、安在は木本が丸橋に繋ごうとするとすぐさまコースを切りに行き、相手に攻撃のやり直しをさせていました。
3.効いていたデサバト
前節の鹿島戦と違ったところはビルトアップの出口となるデサバトが金崎と豊田にパスのコースを塞がれたとしても自らパスコースを作っていて鳥栖の思い通りにはさせませんでした。例をあげたいと思います。
前半5分のシーン
間で受けれないデサバトは敢えて豊田の斜め前に降りて藤田からパスを受けました。そこから藤田にボールを戻しますが、豊田がデサバトの降りる動きにつられて間が空いてしまい、そこをすかさずデサバトが使い、パスを藤田から受けました。この何もないような降りる動きからボールを返すだけの遊びのパスですが、これが非常に鳥栖のようなFWが積極的にプレスをかける相手には大事になってきます。藤田とデサバトの一方向だけなら豊田は距離を縮めやすいですが、デサバトが自ら2人分の働きをして藤田と結んで三角形を作り出し、パスコースの幅を生み出しました。
デサバトは終始この間で受けようとする動きを繰り返しており、完全には鳥栖のリズムにはさせず、自分たちの攻撃のチャンスを作り出していました。
4.鳥栖の左サイドの攻撃
鳥栖はポゼッション時に最終ラインからの組み立てで左サイドの攻撃がうまくいっていました。その要因としては水沼が三丸とクエンカの2人を見る構図になっていたからだと思います。
セレッソはCHの藤田、デサバトの2人のどちらかが前に出て福田にマークさせるということはさせませんでした。おそらくしっかりと後ろに枚数を残してロングボールを豊田目掛けて蹴られても対応できるようにしていたかったからだと思います。裕治にボールが入れば清武が前へ出て対応していました。
水沼に2人を見させる構図も松田が前に出てしまってバランスを崩してしまうのを恐れていたからかもしれません。
ただ、結果的に鳥栖はそこのズレを高丘の高いパス精度や高い位置を取る三丸への秀人の質の高いパスで何度も敵陣奥へ侵入(赤い部分)できました。
敵陣奥に侵入できたのですが、セレッソの左CHのデサバトはそこまで鳥栖の左に寄らず、松田の空けたスペースを埋める動きを見せており、鳥栖は左サイドで数的優位を作る場面は作りましたが、セレッソとしてはバランスよくブロックを組んで守っていたため攻めていたように見えて実はセレッソの思惑通りだった可能性もあります。
三丸が奥深くまで侵入してクエンカに戻してクロスをあげる場面が何度か見られましたがそこまでの決定機が作れなかったのはセレッソが準備できて対応していたからでしょう。
5.スペースを生み出すセレッソ
セレッソとしては清武がハーフスペースでボールを受けるのがベストでしたが、相変わらず鳥栖の硬いブロックの前ではボールを受けられませんでした。
そのため時折、福田の前に降りてきてボールを捌くシーンが見られてきました。
間に受けるデサバトを嫌がって原川がプレスにいき、降りてくる清武に福田が対応する場面が見られ失点の布石になってしまったように思えます。
次の図は前半16分のシーンです
ヨニッチが前へ運んで行き、豊田がプレスに行きました。そうなるとデサバトが空いてパスを受けられるようになり降りてくる清武へパス。そして逆サイドの丸橋へ展開して自らが空けたハーフスペースへ飛び込んで行きました。この場面では丸橋からのパスを清武がうまくトラップできずに事なきを得ましたが、うまくトラップされていれば中の人数は足りておらず、失点の可能性が高かったです。
逆サイドに少ないタッチ数で展開する事で鳥栖のスライドを追いつけなくして、清武自らがいたスペースをブロックを組まれているときよりも広げており、組織としての力が強いなと感じる場面でした。また、この場面で清武がボールをもらう前に逆サイドの方を指しており、ゴールまでの展開が頭の中で描けていたのではと思います。
・失点シーン
スペースをうまく作られたのが前半38分の失点シーンです
まず、クエンカが松田のマークが自分だという意識が強すぎて前へプレスに行き過ぎてしまいマークのズレを作られました。松田が降りる事で藤田は代わりに一列前にポジションをとりました。間で受けるデサバトを嫌がり原川はプレスにくることはセレッソとしてはもうわかっていた事でしょう。あとは福田をどうするかというところで藤田が前に出て、福田がそこに食いつきました。そうなると清武がフリーでいるのは藤田は理解していたと思うのであそこで柔らかいワンタッチのパスが出たと思います。パスを受けた清武はドリブルで小林と安在を引きつけつつ、丸橋に出して、グランダーのクロスをメンデスが押し込みました。
気をつけていたはずの左サイドでやられたのは悔しいですが、原川がデサバトに食いついてくること、福田が清武に対応することを認識して利用したのはさすがだなと思いました。
6. 鳥栖の右サイドでの攻撃
一方の鳥栖も左から右サイドへの展開で何度か攻める場面を作れており、セレッソに傾きかけた流れを取り戻しました。
右サイドの攻撃が活性化した要因は小林が高い位置を取り始めてからでした。
前半43分のシーンですが、小林が相手SBとCBの間に立つ事で丸橋の注意が小林に向き安在のハーフスペースで受けるエリアが広がり、パスを受けられました。
ただ、鳥栖に足りないのが右の攻撃に持って行ってアタッキングサードまで侵入したあとどうシュートまで結びつけるのかが共有できていないように見えます。
1試合に1回か2回くらいは福田や松岡が相手のSBとCBの間で受けようとして走り込みますがうまくパスが合わない場面などをみるとチームとしての狙いが統一されていません。右サイドを起点の攻撃が増えると左サイドも右から左への展開の際に活きてきますし、ここは試合を重ねていきどうなるか期待です。
7.セレッソの選手同士の距離感の良さ
後半に入るとセレッソの選手同士の距離感の良さが攻撃に厚みを生み出し、徐々にセレッソペースに持って行かれました。
後半58分のシーンです。水沼が決定機を迎え、小林がギリギリのところで対応した場面でした。この図を見てもらってもわかるように常に三角形を作る関係性にいます。セレッソはフォーメーションにこだわりはなく、選手たちがいい距離感でいればそれでいいとの考えがあると思います。そのためFWがパスの出し手になったり、清武がポジションにとらわれる事なくパスの受け手になり出し手にもなれていました。
セレッソが相手を背負ってボールを受けたとき後ろには前を向いた味方がいる構図が何回も見られ3人目がパスの出しところを作るために動き出す。こういう連携でどんどん三角形を作りだしていました。この三角形がいい距離感を生み出しており、思い通りの攻撃を作り出していました。
・鳥栖の良かった選手の距離間
後半74分のシーンです
原川がクエンカにパスを出してクエンカは三丸へ。最初にパスを出した原川は相手SBとCBの間に走り込み松田の空けたスペースを埋める意識が強いデサバトが食いついてくれたおかげでクエンカは三丸からフリーでパスを受けられ、シュートまで持って行けました。原川の動きで相手陣地深くで三角形を作れて三丸は原川にもクエンカにも出せる場面でした。もしもデサバトが食いつかなかったとしても原川にパスを出して 木本が空けたスペースに金崎が走り込んでシュートまで持って行けますし、やはり三角形を作り出す大事さがわかるかと思います。
鳥栖はこのような動きを左サイドでもっと見せればさらに強いものになるはずです。
8.試合総括
前半鳥栖は左サイドで起点を作りつつ、右サイドにも展開して自分たちの攻撃を作っていました。しかし、しっかりと後ろに枚数を残して対応されていたからか得点までには至らず、嫌な存在だったデサバト、左サイドの丸橋、清武にやられてしまいました。後半は攻勢を強めたかった鳥栖でしたが、早く追いつきたい気持ちからか前に急ぐ場面が見られ、かえってセレッソの攻撃を自由にさせてしまいました。
セレッソは技術の高い選手が多く、それでいて組織としてどこを狙うのかがはっきりしていました。清武、水沼がリズムを生み出すために相手の前に降りてどう相手を動かすか試行錯誤していましたし、それに呼応するように周りも動いていたのでロティーナ監督の考えが浸透すれば優勝も狙えるチームになるのではとも思いました。
そんな相手でも鳥栖は押し込む場面は作れており、あとは組織としてどう攻撃を組み立てるかが大事だと思っているので、見習うべきところは見習って強くなって欲しいですね。
サガン鳥栖対鹿島アントラーズ
サッカーは何が起こるかわからない。数秒で天国と地獄へ。
前節は三丸、今節は豊田が報われる結果となりました。今節の、いや、今までの豊田の守備の貢献報われて当然の結果かもしれません。今回は豊田の守備の貢献度、得点シーンそして最近大好きな松岡に焦点を当てつつ述べていこうと思います。
目次
1.両チームのスタメン
2.両チームの狙い
3.松岡に見られる成長
4.金崎の使い方
5.得点シーンの考察
6.試合総括
1.両チームのスタメン
鳥栖はスタメンが固まってきて変更点はドンゴンに変わって金崎がスタメン
鹿島は安西が怖いし、三竿はいいところでボールを刈りとるし、レオシルバは持ち運びうまいしで全体的にバランスの取れたいいチームの印象。
この試合両チーム4ー4ー2の並びでいわゆるミラーゲームとなりました。
ただ、両チームの強みは前線において違うところに出ていました。
鳥栖は前線の豊田を活かしての空中戦の強さ、一方鹿島は前線2人のどちらかが降りてきてボールを受け、前を向いた選手にボールを預け、空いたスペースを使っていくように見えました。
2.両チームの狙い
鳥栖
両CBが開いて、間に福田が降りてきてビルトアップをしたい
それが無理なら豊田ターゲット
鹿島
同じく両CBが開いて、間に三竿が降りてくる
三竿に出せないならビルトアップの出口としてレオシルバに出したい
両チームの強みはどちらも自分のチームから見た左サイドでしょう。
ただ、両チームとも守備がしっかりしており左に入ったときに外へ外へ追い出す守備でうまく繋げさせませんでした。
・鳥栖の右サイドの守備
鳥栖の右サイドの守備は前回寄稿した松岡の頭の良さのところと内容は被りますが、あえてもう一度書こうと思います。犬飼にボールが入ったとき福田、松岡でハーフスペース(白崎の位置)を締めてパスコースを遮断します。この2人の距離感が非常に良く、ハーフスペースを遮断しつつ、高い位置を取る安西にボールが入ったとしても松岡がすぐにスライドして対応できるようになっていました。このいい距離感を取るのは意外と難しく、この2人は相性がいいのと同じ守備の感性を持っているからだと思います。
・豊田の守備
鳥栖の場合はさらに豊田が金崎とともに三竿のパスコースを切りつつ、中盤のレオシルバにパスが通ってしまったときは2度追いをして自由にさせませんでした。そのため原川の守備の負担も軽くなり鳥栖の中盤は比較的余裕を持って対応できました。
豊田のこの献身性がなければ1人抜くのはレオシルバくらいでしたら容易でしょうから起点を作られ、SB、CB間にパスを通されたり、シュートまで持って行かれたりと守備の混乱を招く要因になっていたはずです。
ゴールも素晴らしかってですが、あの暑い日にあそこまで守備をした豊田には尊敬しかありません。
鹿島は左サイドもクエンカ、三丸の前へのプレスで自由にさせてもらえず、豊田は時には左サイドまで追ってきて、レオシルバに対して守備をするために中盤までプレスをかけてきて、右サイドは守備の統率の取れた松岡、福田にやられて、時間とともにロングボールを蹴らされる場面も多くなりました。そのため鳥栖の思惑通りの展開だったかもしれません。
3.松岡に見られる成長
今節さらに彼の成長が垣間見えたのではないでしょうか。
まず、守備面では前述のハーフスペースの管理と共に安西とマッチアップする場面が多かったですが、危ない場面を作らせませんでした。
攻撃面では前半9分46秒では自らの守備で安西からボールを奪い取りパスを繋げました。そして再びパスを受けたのですが安西からボールを奪われそうになったところでターンをして後ろからサポートにきた小林に預けました。さらにそのまま縦に走り出し、ハーフスペースを広げ原川がそのスペースに走りこみました。この場面では鹿島の守備ブロックの構築が早く、松岡、原川に繋がることはなかったですが、今後に活きてきそうな展開でした。あのターンの仕方ですが小林のターンの仕方と似ているなあと感じて一緒に試合でやるうちに覚えていったのかなとも思いました。
後半55分41秒でのよかった場面を図と共に解説します。
鹿島のSBが釣り出されてCB間と大きなスペースが生まれました。
松岡はこのスペースを使おうとすかさず走り込み、小林からのパスを引き出しました。惜しくも小林のパスが内側に流れこみすぎてうまく合わなかったのですが、コントロールできていれば、シュートもしくは折り返してのパスを選択できゴールに近い場面でした。
後半71分では競り合いからこぼれてきたボールにいち早く反応を見せ、奪いドリブル開始しましたが、相手の寄せが早く体を強めに当てられました。ただ、松岡は当たり負けすることなくそのまま前へのドリブルを進めクエンカへスルーパスを出し、ペナルティエリア内の疑惑のハンドリングだったシュートまで結びつけました。
松岡の理想とするカンテらしいプレイを今節は見せてもらった気がして今後は試合の勝ちはもちろんですが彼の成長も楽しみになってきました。
4.金崎の使い方
金崎の守備の貢献度は豊田と共によくやってくれています。しかし、攻撃の場面で時間をかけすぎてしまったり、外へ流れすぎてクエンカ、三丸、金崎が同じレーンにいてしまったりして停滞を招いてしまっているところがあります。
一例をあげると前半13分40秒のシーンです
この場面では、福田が高丘からボールを受け、うまくレオシルバをかわして中盤まで持ち運びました。原川、金崎へと繋がっていったのですが、金崎が後ろ向きの状態のままボールを持ってしまい攻撃のテンポが遅くなり、鹿島の守備を助ける形になりました。後ろ向きでボールを受けたら早めに前を向いている選手に渡したほうが次の攻撃に繋げやすいです。この場面の理想では図で書いているように原川がリターンでボールを受けることができればミドルシュートが狙える場面でしたし、原川もそれを期待したような動き出しでした。
ここら辺の連携はチーム内で話し合って解決してもらいたいですが、それでも無理であれば金崎を原川の位置で使っても面白いのかなと思います。
金崎の守備強度、キープ力、ドリブル、ミドルシュートの威力このような能力を兼ね備えているので合わないこともないのかなと。一度試してみませんか明輝監督(笑)
5.得点シーンの考察
得点シーンですが鹿島を反面教師としてあの場面どう守備をすべきだったかについて焦点を当てたいと思います。
豊田のゴールまでの流れを説明すると、まずこぼれてきたボールにいち早く反応したのは途中交代で入った義希でした。そこから小野が相手の視界から消えるように大きく膨らみ、義希からの縦パスを引き出しました。小野の膨らむ動きが非常に大事でそのまま直線的に走ってしまうとオフサイドにかかる可能性が高くなります。また、膨らむ動きによって相手はどこをケアしたら良いかわからず、縦のパスコースが開き、義希も余裕を持ってパスを出せました。最後に豊田は最もゴールの確率が高い位置を取り直し、合わせるだけの状況を作り出しました。
得点シーンはざっとこんな感じですが、逆に鹿島はどうしたら防げたのかを考察してみたいと思います。
小野に折り返されたときのスンヒョンの位置です
次は理想とすべきスンヒョンがいる場所です
実際の場面よりやや後ろに立っています。
この場面でスンヒョンはシュートを防ぎにいく意識が強く、ゴールに寄りすぎていってしまったと思います。小野と豊田VSスンテとスンヒョンと考えたらスンテにシュートを防いでもらって、スンヒョンは豊田のコース切りをするというわりきりの方がより失点の可能性を防げました。豊田のいた位置は得点の確率が最も高いと言われている場所で小野の位置は次に得点が高いと言われる場所になります。そうなるとまず守るべきところは豊田のいる位置になるはずなので第一選択は豊田のコース切りでした。そうしたら小野はシュートの選択になりますが、豊田のいる位置からのシュートよりは確率が落ちますし、小野の角度からのシュートは難しく、スンテが防いでた可能性が高いです。
こうした万が一の場面の守備構築も相手を反面教師として学ぶべき点かと思います。
6.試合総括
鳥栖は無理をして繋がず豊田を起点にしたかったところではありますが、鹿島は後ろに4枚残し、豊田の競り合いからのボールを松岡、原川で回収したい鳥栖と白崎と三竿で回収したい鹿島でしたが、やはり豊田の方が若干強かったかなという印象です。
鳥栖はいい守備から流れをつかみましたが、鹿島の守備もしっかりしているので決定機はそんなに多くは作れず、鹿島は流れが悪いなりに土居やセルジーニョが収めたところからレオシルバやSH、CBが絡んできて攻撃を組み立てたり、レアンドロの個人での打開で鳥栖を一方的な優位にさせませんでした。
どうしても左で攻撃したい鹿島は途中でロングボールを鹿島の左サイドで蹴らせて、カウンターに持っていきたい意図が見えましたし、左SHが外に出たら左SBは内側に入っていく動きを見せてレーンの使い方のうまさも見せていました。
それでも最後まで守備の集中を鳥栖は切らせませんでしたし、最終的には明輝監督の交代策もうまくはまりました。
最初の交代で金崎に代えて義希を投入した時点でしっかり守備をやれよというメッセージを送りました。原川をトップ下に置きましたが、間延びしていく感じを嫌がってか松岡に代えて小野へ、さらに原川に代えて安在を投入しました。間延びしなかった結果義希がいち早くボールに反応できて小野にパスを出せたと思いますし、いい交代策でした。
最後にこの前読んだ福田のインタビューにいいことが書いてあったの紹介します。
カレーラス前監督の元でやっていたポゼッションの練習をしてきたから、勇気を持ってボールを受けにいくことができていると話していました。
決して今までやってきた積み重ねは無駄になっておらず、マッシモのサッカーでの守備の強みも今の鳥栖は備えています。様々な引き出しを手に入れた鳥栖は明輝監督の元で試合を重ねるごとにバージョンアップしていき、強くなっていくはずです。